株式投資でリターンを得るには、「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」の2つの方法があります。キャピタルゲインは株式を売却することで得られる利益で、インカムゲインは株式を保有することで得られる配当収入です。
今回は、株式を資産として保有し続けながら富を生み出すインカムゲインである米国株の配当に焦点を当てて解説します。
米国株を購入するには、まず米国株が購入できる証券会社の口座が必要です。おすすめの証券会社は下記2社です。
米国株を購入できる証券会社
SBI証券
最低手数料 0ドル取引手数料 約定代金×0.495%
上限取引手数料 22ドル
SBI証券は米国株式の取扱数が約6,000銘柄で、主要ネット証券で最多水準。大型銘柄だけでなく、中・小型銘柄も数多く取り扱っています。最低手数料が0ドルで、取引手数料が約定代金の0.495%と安いのも魅力です。
マネックス証券
最低手数料 0ドル取引手数料 約定代金×0.495%
上限取引手数料 22ドル
マネックス証券では、米国株式を最低手数料0ドルの売買手数料で提供しています。そして、顧客の要望に応え、随時、取扱銘柄を追加。
時間外取引も可能で、逆指値注文やトレールストップ注文も利用可能です。また、米国株専用のスマートフォンアプリ、銘柄分析ツールやセミナー、レポートなどの投資情報も提供しています。
米国株の配当の魅力
米国では、配当などの株主還元を重視した経営方針をとっている企業が多く、ほとんどの企業が配当という形で株主に利益を還元しています。
多くの企業が年4回あるいはそれ以上の頻度で配当を行っており、配当利回りも日本企業より高い傾向にあるのです。
また、長年にわたり継続的に増配している企業も多く、優良企業の中には50年以上増配を続けている企業もあります。
高配当と増配が、米国株式の大きな魅力なのです。
米国株投資の注意点
米国株の配当金には通常、米国で10%、日本で20.315%の2段階、つまり約30%が課税されます。しかし、確定申告をして還付を受けることで、日本株の20.315%の税率と同じになります。
ただし、NISA(少額投資非課税口座)で株式を購入した場合、日本では利益や配当はもともと非課税なので、還付を受けることはできません。この場合、米国で10%の課税となります。
また、米国株は日本円で買うか、米ドルで買うかを選択できます。日本円から外貨に変える場合は、為替手数料がかかります。米国株を買い続ける場合、外貨決済にしなければ、無駄に手数料を支払うことになるので注意が必要です。
また、米国株は日本株と異なり、権利落ち日が毎月末に集中することはありません。そのため、各銘柄の権利落ち日を確認する必要があります。
配当貴族とは
配当貴族とは、長期にわたって毎年増配を続けている企業のことです。米国では、一定期間以上連続で増配している優良銘柄を集めて算出した「S&P500配当貴族指数」があります。
インカムゲインを狙った投資で高配当銘柄は魅力的であり、「配当貴族指数」もその一つです。また、これらの銘柄を集めて運用する「配当貴族ファンド」も注目されています。
配当が魅力の米国株10選
「配当貴族」銘柄を中心に、配当が魅力の米国株を紹介します(数値は6月27日時点)。
1.エクソンモービル(XOM)
株価 89.03ドル
配当利回り 3.95%
セクター Energy
エクソンモービルは、米国最大のエネルギー企業。天然ガスや原油の探鉱・生産に加え、石油製品の製造や天然ガス・原油・石油製品の輸送など、エネルギー関連事業を行っています。
また、芳香族化合物、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの石油化学製品の製造や、発電事業への投資も行っています。本社はテキサス州です。
2.シェブロン(CVX)
株価 147.57ドル
配当利回り 3.85%
セクター Energy
シェブロンは、石油や化学、発電の各分野でグローバルに事業を展開する米国の大手エネルギー企業です。石油事業では、天然ガスや原油の生産に加え、石油精製品の販売や原油・天然ガスのパイプライン輸送を行っています。
そして、化学事業では、石油化学製品、工業用樹脂、燃料などを生産。事業は、石油の探鉱・開発(上流)部門と、石油精製・販売・輸送(下流)部門の2つで構成されています。
シェブロンが2022年4月29日に発表した第1四半期決算では、利益が過去10年間で最高を記録しました。原油やガス価格の高騰が寄与したからです。シェブロンは世界的な需要増を背景に、天然ガスへの投資を拡大することも発表しています。
3.AT&T(T)
株価 20.78ドル
配当利回り 5.34%
セクター Communications
AT&Tは、米国の通信持株会社です。主に携帯電話事業を行い、子会社のAT&Tモビリティを通じて、米国内の企業や個人に市内および長距離の携帯電話やローミングサービスを提供しています。
また、インターネットアクセス、専用線、IPテレビ「U-verse」、ブロードバンド、ウェブホスティングサービスなども提供しています。本社はテキサス州ダラスです。
日本では、1985年に開始した国際長距離通信サービスが主な事業です。日本IBMとの戦略的提携に基づき、AT&Tの技術を日本に取り込みながら、企業ネットワークのアウトソーシングサービスを専門に提供しています。
また、国内外の複雑なネットワーク構築にも対応し、顧客のセキュリティや海外進出をサポートする体制を整えています。
4.コカ・コーラ(KO)
株価 62.91ドル
配当利回り 2.80%
セクター Consumer Staples
コカ・コーラは、世界最大のノンアルコール飲料メーカーです。同社はノンアルコール飲料用の濃縮液やシロップの製造と販売に従事しています。
同社のブランドには500 以上の炭酸飲料、フルーツジュース、紅茶、コーヒー、スポーツドリンク、水、エナジードリンクがあり、主な製品名としては、コカ・コーラ、パワレード、ミニッツメイドなどです。
コカ・コーラは、ウォーレン・バフェット氏が投資した銘柄として有名です。コカ・コーラは、当初1886年にコカインを混ぜた薬用飲料を販売するために設立された歴史のある会社で、1920年代における禁酒法時代や第二次世界大戦中に米軍の軍需品として需要が高まり、戦後も米国や世界での消費拡大の波に乗って業績を拡大させてきました。
現在のコカ・コーラの株価のパフォーマンスは、どちらかといえば地味なものです。しかし、ウォーレン・バフェット氏が初めて投資して以来、数十年にわたり、コカ・コーラは大きな成長を遂げてきたのです。
5.エマソン・エレクトリック(EMR)
株価 82.49ドル
配当利回り 2.50%
セクター Industrials
エマソン・エレクトリックは電気メーカーです。同社は産業用および民生用のプロセス制御機器やシステム、空気圧制御機器、送電機器、無停電電源装置、空調・暖房機器、電気モーター、家電部品、民生用工具を開発・製造・販売。さらに、技術サービスも提供しています。同社は世界中に製造拠点を持ち、本社はセントルイスにあります。
世界の産業用オートメーション市場は、生産性向上を目指す製造業での産業用ロボットの導入増加を背景に、今後も高い成長率で拡大すると予想されます。
また、脱炭素化への取り組みは長期的な設備投資サイクルであるため、中長期的な市場機会の拡大もプラス材料です。
6.アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)
株価 76.04ドル
配当利回り 2.10%
セクター Consumer Staples
アーチャー・ダニエルズ・ミッドランドは、4大穀物メジャーの一角。トウモロコシ、小麦、カカオなどの飼料加工、飼料用蛋白食品、植物油、コーンシロップ、小麦粉、エタノール、動物飼料の生産などを行っています。
また、南米において大麦などの農産物や肥料製品の調達や保管、輸送を行う穀物倉庫・輸送網を運営。
そして、世界160カ国を結ぶ穀物メジャーとして、購入した穀物を貯蔵する約500基のサイロやエレベーター、約350基の原料生産設備、輸送手段である鉄道車両やトレーラー、外航船舶を備え、世界有数の穀物ネットワークを構築しています。
7.キャタピラー(CAT)
株価 187.59ドル
配当利回り 2.56%
セクター Industrials
キャタピラーは、米国を代表する建設機械・大型エンジンメーカーです。建設機械部門は、バックホーローダー、ホイールローダー、トラックショベルなどの建設機械を製造しています。
資源産業部門は鉱山用電動ショベル、タイヤドーザー、電子制御装置、トンネル掘削機などを、電気システム部門はレシプロエンジン、タービンなどを取り扱っています。
キャタピラーは、重機の世界シェア1位を維持し続けるグローバル企業であり、持続的な配当が期待できる大型好配当銘柄です。
同社の製品の特徴は、建設業や資源産業の影響を大きく受けることです。そのため、景気の良い時、悪い時で株価自体が大きく変動します。ただ、今後も世界経済の拡大とともに、業績を堅調に伸ばしていくと考えています。
8.アルベマール(ALB)
株価 226.62ドル
配当利回り 0.70%
セクター Materials
アルベマールは、米国の特殊化学品メーカー。石油精製、家電や金属加工、建築・建設、自動車、医薬品、農薬、食品安全など幅広い市場向けに、リチウムやリチウム化合物、臭素、表面処理剤などの特殊化学品を開発・製造・販売しています。同社の製品は約100カ国で販売されていて、本社はルイジアナ州にあります。
同社の売上高の約4割を占めるのがリチウム。電気自動車やスマートフォン、ノートパソコンなど、リチウム電気の需要は伸び続けており、同社の業績は順調に拡大しています。
同社は世界75カ国以上で事業を展開し、約2,300社の顧客にサービスを提供。売上の75%は米国外です。事業拡大の一環として、買収による拡大を行っており、今後も買収による拡大が期待されます。
直近は株価が大きく値上がりして配当利回りが1%を切っているので、株価が下落した局面で買うのをおすすめします。
9.プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
株価 143.25ドル
配当利回り 2.55%
セクター Consumer Staples
プロクター・アンド・ギャンブルは、米国の大手一般消費財メーカーです。主に「P&G」ブランドで家庭用品やパーソナルケア用品、工業用品などの製造・販売に携わっています。
ヘアケア・スキンケア製品、電気カミソリ、歯ブラシ、衣料用洗剤や消臭剤、ベビー用品など、幅広い製品を大型小売店で世界中に販売。本社はオハイオ州シンシナティにあります。
プロクター・アンド・ギャンブルが2022年4月20日に発表したところによると、1-3月期の売上高は、一部を除いた本業ベースで10%増加。値上げが売上増につながったことに加え、出荷量の増加や高価格帯の製品へのシフトも増収に寄与しました。
10.ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
株価 182.12ドル
配当利回り 2.48%
セクター Health Care
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、アメリカの医療・ヘルスケア企業。事業部門は、主に消費者向け製品、医薬品、医療機器で構成されています。
そして、目薬、胃腸薬などの一般用医薬品、栄養補助食品、精神疾患、循環器疾患の治療薬を製造・販売。また、臨床検査機器や診断用試薬なども取り扱っています。
新型感染症に対するワクチンも開発していて、本社はニュージャージー州にあります。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは2022年4月19日、1-3月期(第1四半期)の利益がアナリストの予想を上回ったと発表しました。しかし、為替関連の逆風を理由に2022年の通期利益予想を引き下げています。また、新型感染症ワクチンの販売見通しを中止すると発表しました。
まとめ
米国株は配当利回りが高いだけでなく、毎年連続して増配している銘柄が多いのも魅力です。
ただ、株価が下落したり、配当が減ったり(減配)するリスクもあるので、1つの銘柄に集中投資するのではなく、複数の銘柄に分散投資してリスクを軽減させるようにしてください。