「株取引で決算が株に与える影響について知りたい」
このように考えている方はいませんか?
決算について知らないと、その前に取引をするのは怖くなってしまいますよね。
他にも、
「決算前に株価はどう動くのか?」
「決算前に仕込めば株価は上がるのか?」
「決算前に利確をすべきか?」
「発表前の何と比較をして株価は動くのか?」
といった疑問もあるかと思います。
この記事では、株取引で決算を利用して稼ぎたい方へ、株と決算の関係について説明します。
最後まで読めば、「投資初心者は決算を利用するより避ける方が無難である」とわかるでしょう。
そもそも決算とは?投資初心者が押さえておきたい基礎知識
始めに株式投資における決算について、基本的な知識を確認していきましょう。
決算とは、年に一度会社の業績をまとめ、どれほど利益・損失があったのかを算出することです。
日本では3月を決算期とする企業がほとんどですが、決算日は会社が自由に決められます。
年に一度の決算に加えて、上場企業は金融商品取引法の定めにより、1年を4期に分けて4回決算を発表することになっています。
仮に3月期決算の場合で説明すると、
- 4〜6月期が第1四半期決算
- 7〜9月期が第2四半期決算(中間決算)
- 10〜12月期が第3四半期決算
- 1〜3月期が第4四半期決算(本決算)
となります。
中でも本決算はサプライズ決算となり、大きな値動きにつながるケースもあるのです。
初心者は避けよう!決算前に株を仕込む戦略
初心者は決算前に株を仕込むのは、避けた方が無難です。
株の値動きを予測するのは困難ですが、決算直後の値動きの予測はより難しくなります。
また決算時は株の値動きが大きくなりがちなので、予想と反した動きをすると大きな損失に繋がるリスクもあるでしょう。
値動きが顕著に見られた例としてMeta Platforms(旧称Facebook)があります。
Meta Platformsは2021年4〜6月期の決算発表(7/28)で、売上で伸びを見せていたにもかかわらず、発表後に急下落しました。
つまり、単純に「売上がよかった」「業績がよかった」という発表で株価が上がるわけではないため、投資の初心者は決算前に仕込むのを控える方が無難でしょう。
そのため決算前に利益確定できる場合は、リスクを回避するためにも株を売却しておくのをおすすめします。
決算前に仕込む時注意する5つのポイント
株式投資の初心者は決算前には投資を控えるのが良いとお伝えしました。
とはいえ、決算前の仕込みに成功すれば大きく稼げるのも事実。
ここでは、決算前に仕込み成功するために気を付けるべき5つのポイントをご説明します。
fa-hand-o-upポイント1 期待されていない株
fa-hand-o-upポイント2 途中経過が良好な株
fa-hand-o-upポイント3 サプライズになりそうな株
fa-hand-o-upポイント4 株を仕込むタイミング
fa-hand-o-upポイント4 ポイント5 決算発表をまたぐか否か
それぞれ見ていきましょう。
ポイント1 期待されていない株
決算前に仕込む株は、期待度の高くない銘柄が良いでしょう。
期待されていない分、決算で少し良い発表をすればサプライズとなりやすく、大きく値上がりする可能性があります。
特に「割安株」と言われる株に、期待されていない株が見られます。
割安株とは、投資家がその企業をまだ正しく評価できておらず、安い状態の株です。
一般には、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)・ROE(自己資本利益率)といった指標から見つけることが多いでしょう。
ポイント2 途中経過が良好な株
決算前に仕込む場合、決算以外の報告が良好な株にするのがおすすめです。
途中経過が順調であれば、決算時に良好な結果を発表する可能性があり、株価上昇を期待できるでしょう。
決算以外の報告として、月次情報があります。
具体的には、小売りなど消費者向けの事業を投資対象にし、売上の数字が増えているかどうかを判断するだけでも大きな参考になります。
数値を見る際には、
「なぜ前年同月と比べて大きく下がっているのだろう?新型感染症流行の影響だろうか?」
といった自分なりの分析も必要になるでしょう。
ポイント3 サプライズになりそうな株
サプライズが起きても織り込み済みにならない株を探しましょう。
決算発表時に多くの投資家が「予想通りの好成績」と思うような株は、値が激しく動きません。
ポイントは株価の安い銘柄の中から見つけることであり、安い銘柄は少し好調なだけで、サプライズになるケースがあります。
一方で株価の高い銘柄は、相当好成績を発表しないとサプライズにならず、わずかな好成績を発表しても逆に下降してしまう場合もあるので注意が必要です。
ポイント4 株を仕込むタイミング
決算前に株を仕込む場合、どのくらい前に仕込むべきか気になる方は多いでしょう。
仕込みの目安の1つは、決算が出る1か月〜2週間前であり、決算発表の当日や2〜3日前に買うケースは多くありません。
上記の通り、決算時は値動きが大きくなりがちですので、価格変動リスクを回避するためにも決算日の1か月〜2週間前からの仕込むのを推奨します。
それに対して、決算後に株を買う戦略もあります。
決算直後の激しい値動きが落ち着いた後に、株価が上昇・下落のどちらに動くかを確認し、それに合わせて売買すれば、利益を狙いやすくなるのです。
例えば決算後に上昇トレンドになったのを確認し、その値動きに合わせて株を購入すれば値上がり益を期待できるでしょう。
ポイント5 決算発表をまたぐか否か
決算発表をまたいだ後も株を保持すべきなのか気になるところ。
なるべくリスクを避けて確実なリターンを狙いたい場合は、決算発表をまたがずに決算前に売ると良いでしょう。
事前に仕込んでいた株が決算発表前までに値を上げていれば、確実に利益になります。
確信があってサプライズで値が上がると思える場合を除いては、決算発表前に決済することでリスクを低下させられます。
仕込みに必須!!決算スケジュール確認方法
株を仕込むにあたり、事前に決算日を知る必要があります。
決算スケジュールは次の方法で確認できるので、興味のある株を調べてみましょう。
SBI証券
1つ目はSBI証券の「決算発表スケジュール」です。
日付毎に、何の会社が発表するのか細かく見られます。
誰でも無料で利用でき、外国株式に切り替えも可能です。
日経新聞電子版
2つ目は日経新聞電子版の「決算発表スケジュール」。
企業ごとに決算発表日を確認できます。
SBI証券との違いは、企業名や企業コードを入力することで見たい企業を出せる点です。
東証、大証、名証、札証、福証、JASDAQ上場会社が対象で、無料で使えます。
TRADER'S WEB
3つ目はTRADER'S WEBの「決算発表スケジュール」です。
SBI証券と同じカレンダー形式ですが、違いは日付をクリックせずとも銘柄が見られる点です。
無料で利用でき、
「直近1週間にはどんな銘柄の決算発表があったんだろう?」
と気になった時にリサーチが可能です。
外国株を見る場合は「海外市場スケジュール(月間)」のページで確認できます。
知らないと不安!!決算発表前後の動きのパターン
ここまで決算時に仕込むタイミングや決算日の調べ方などをお伝えしてきましたが、実際に決算発表前後でどのように株が値動きするのか気になるのではないでしょうか。
そこでここでは、決算発表時の値動きのパターンをまとめました。
次の4パターンがあります。
決算 | 株価 | 備考 | |||||
好調 | 上がる | 株価の低い銘柄で起きやすい | |||||
不調 | 下がる | 好調になると思われてると起きやすい | |||||
好調 | 下がる | 思ったほど好調でなかった | |||||
不調 | 上がる | 思ったほど悪くなかった |
それぞれのパターンを見ていきましょう。
パターン1 決算が好調で株価が上がる
最も分かりやすい値動きであり、決算発表後に業績が好調のため、株価も上がるという結果です。
ただし、既にお伝えしているように、決算が好調であれば必ず株価が上がるわけではありません。
決算前から株価が高い銘柄の場合「価格が高めで当たり前」と認識されてしまいがちですので、決算後に株価が上がりやすいのは、株価の低めな銘柄になります。
パターン2 決算が不調で株価が下がる
こちらも分かりやすい値動きです。
決算発表後に業績不調のため、株価も下がります。
「決算の結果が好調になる」という予想に反して、決算の結果が不調であった時によく見られる値動きです。
パターン3 決算が好調で株価が下がる
良い決算結果だったとしても株価は下がることがあります。
市場では決算前に「今回の決算の結果は前回よりも〇%上がっているだろう」といった予想を立てられており、たとえ決算が好調だったとしても、期待を下回る結果であると価格下落するケースもあるのです。
つまり、決算の内容が株の値動きに反映されるのではなく、市場の期待と決算の結果がどれほど乖離しているかが値動きに反映します。
このように「好調を期待していたが、実際には現状維持程度であった」など予想と外れた決算をサプライズ決算と呼び、値段が悪い方向へ行く場合に「ネガティブサプライズ」と呼びます。
パターン4 決算が不調で株価が上がる
反対に決算が不調でも、株価が上がることもあります。
仮に決算予想が非常に悪く想定されていて、「思ったほど悪くなかったが赤字である」という結果が発表されたとしましょう。
この場合、「決算は予想より良かった」といった意味でのサプライズになり、株価を買う動きが見られがちです。
このようにサプライズ決算で、値段がよい方向へ行く場合を「ポジティブサプライズ」と呼びます。
決算は結果よりも市場がどう予測しているのかに大きく影響を受けるので、決算の値動きを予測できない場合は、決算を利用した投資を控える方が無難です。
コンセンサス予想の調べ方
決算と市場の予想は深い関わりがあるとお伝えしてきましたが、決算による市場予想はどこで確認できるのでしょうか?
市場予測をリサーチするためには、「コンセンサス予想」を見るのをおすすめします。
コンセンサス予想とは、複数の市場アナリストの業績予想であり、アナリスト予想とも呼ばれます。
コンセンサスとは英語で「意見の一致」や「総意」という意味です。
コンセンサス予想とアナリスト予想のニュアンスの違いとして、複数のアナリスト予想の平均であるという点が込められていますが、実際に細かく使い分けはされていません。
ここではコンセンサス予想の調べ方を解説します。
証券会社提供
証券会社の口座内で見ることができます。
例えば、楽天証券のページでは次の様な画面で表示されます。
口座を開設しないと見られませんが、株取引を行う場合、口座を作る必要がありますので、ぜひご自身の証券会社で探してみてください。
無料で情報を提供している証券会社もあれば、有料のオプション扱いになっている所もあります。
無料で見られる
無料で見られるページもあります。
株予報Proの各銘柄のページ内に「アナリスト予想」があるので、こちらで確認可能です。
他にも、端的に数字のみが書いてある形になりますが、SBI証券の決算発表スケジュールにも、予想値が載っています。
会社の予想する業績予想
コンセンサス予想とは別に、会社が自ら予想する業績予想もあります。
企業としては、投資家向けに情報を発信することで、投資家に応援して欲しいと思っているためです。
例えば、有名な企業の「任天堂」では下記のページでIR情報を確認することが可能です。
ただし企業に配信しなければならない義務があるわけではないので、全ての会社で閲覧できません。
まとめ
今回は決算を利用した株式投資について解説しました。
決算時は値動きが大きくなりがちですので、投資初心者の方は避けたほうが良いでしょう。
これから特定の銘柄に投資を検討している方は、決算の時期を避けるためにも、投資する会社の決算時期を調べておくことを推奨します。
また、投資初心者には個別の銘柄ではなく複数の株に投資できる「投資信託」もおすすめです。
特につみたてNISAを利用して投資信託を購入すれば、発生した利益を非課税にできますので、これから投資を始めたい方は、ぜひ挑戦してみると良いでしょう。
本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織などとは関係ありません。また、2021年11月時点での情報をもとに、わかりやすさを優先して解説していますので、細部は必ずしも厳密とは限りません。