株式や投資信託を取引するためには、証券会社で口座を開設しなければなりません。「実際に取引するかわからないけれども、証券会社で口座を開いても良いのだろうか」と悩んでいる方は、多いのではないでしょうか。
結論をいうと、 証券会社で口座を開設すること自体にリスクはありません。
もし開設した口座を持ったままにしたり放置したりしても、ペナルティが課せられることはないのです。
一方で、証券口座を開設し、金融商品を取引する際にはリスクが生じます。
本記事では、証券会社の口座開設にリスクがない理由や、金融商品の取引で生じるリスク、投資の初心者におすすめな金融機関などを、分かりやすく解説していきます。
証券会社で口座を開設するリスクはない!持っているだけでも大丈夫
証券会社で口座を開設してもリスクがない理由は、以下の2点です。
- 口座の維持費用がかからない
- 証券会社が破綻したとしてもお客様の資産は守られる
証券口座を開設して保有するだけでは、証券会社に手数料を支払う必要はありません。証券口座はいくつ開設しても、口座の維持手数料は基本的に無料です。
金融機関が経営破綻したとしても口座にある資産が守られるのは、証券会社の資産と口座にある顧客の資産が別々に管理されているためです。これは、法律によって義務付けられています。
※信用取引先物取引など、分別管理の対象とならない金融商品もあります。
万が一、証券会社が破綻したとき、口座の契約者へ資産を円滑に返還できない場合は「日本投資者保護基金」から、1顧客につき1,000万円が補償される仕組みです。
このように口座を開設したとしてもコストがかからないだけでなく、万一証券会社が経営破綻しても口座にある資産は保護される仕組みがあるため、リスクはないといえるのです。
証券口座を複数開設するメリット
証券口座は、できるだけ多くの証券会社で開設するのがおすすめです。
証券会社ごとに取扱商品や手数料体系、サービスなどが異なります。複数の証券会社で口座を開くことで、購入した商品や利用したいサービスに応じて使い分けができます。
また証券会社の取引サイトがダウンしたり、重くなったりしても、他の口座で引き続き取引できる点も、複数の証券口座を開くメリットです。
詳しくは「証券口座複数開設したほうが良い?メリット・デメリットを解説」をご一読ください。
開設した証券口座での金融商品の取引はリスクを伴う
証券口座を開いたり保有したりするだけでリスクは負いませんが、株式や投資信託などの金融商品を取引する際にはリスクが伴います。
金融商品を取引するときの代表的なリスクが、価格変動リスクです。価格変動リスクとは、購入したときの価格と売却したときの価格差によって、損益が発生するリスクです。
例えば株式や投資信託などを、購入したときよりも高い値段で売却できると譲渡益(キャピタルゲイン)が得られます。しかし売却価格が購入価格よりも低くなると、譲渡損失(キャピタル・ロス)が発生してしまいます。
他にも「為替リスク」や「流動性リスク」など、金融商品によってリスクはさまざまです。
またリスクの高低も金融商品ごとに異なります。一般的にハイリスク・ハイリターンな商品ほど、高い利益が期待できる一方で、大きな損失を被る可能性もあるのです。
金融商品を取引する際は、リスクについての理解が欠かせません。投資で安定した収益を得たいのであれば、証券口座を開設したあとも、書籍やセミナー、勉強会などで投資について学ぶことが大切です。
証券口座の開設はネット証券がおすすめ
証券会社は、実店舗をかまえる「総合証券」と、実店舗を持たず申し込みから取引までインターネットで完結できる「ネット証券」の2種類があります。
これから証券会社で口座を開こうと考えている方は、 特にこだわりがない限り、ネット証券がおすすめです。ネット証券をおすすめできる理由は、以下の通りです。
- コストが安く料金体系がシンプル
- 申し込み書類をすべてネット上で送信できる
- 取扱商品が豊富
ネット証券は実店舗を持たず、人件費や店舗の運営費などがかかりません。 そのため株式や投資信託の取引手数料、FXを取引するときのスプレッド(為替手数料)が割安に抑えられています。
また証券口座は、インターネット上で氏名や生年月日、メールアドレスなどの情報を入力し、免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類をアップロードすると開設できます。
ネット証券によっては、米国株や中国株、IPO株などの取扱が豊富であるのも、おすすめできる理由です。※IPO株とは、証券取引所に上場を予定している企業の株。上場前に「公開価格」で購入し、上場日以降に売却して利益を狙う投資方法をIPO株投資という
ただしネット証券は、相談窓口はあるものの、総合証券のように営業担当者に運用を相談できません。プロに相談しながら取引をしたい方は、総合証券の口座も持っておくと良いでしょう。
証券口座を開設すると良いネット証券5選
ネット証券で口座を開設する場合、以下の金融機関がおすすめです。
それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
楽天証券
楽天証券は、日本最大のショッピングモールを運営する楽天グループのネット専用証券会社です。楽天グループは、証券会社以外にも銀行やクレジットーカード、電子マネー、生命保険など、さまざまな金融事業を展開しています。
楽天証券をおすすめする理由は、以下の3点です。
- 「マーケットスピード」を利用できる
- 取引手数料が割安
- 楽天ポイントが貯まる・使える
マーケットスピードは、株式取引をする投資家の中で特に人気の高い取引ツールです。マーケットスピードを利用するために、楽天証券の口座を開く投資家も珍しくありません。
最新の「マーケットスピード2」では、事前に登録した条件に合致する銘柄を自動で注文してくれる「アルゴ注文」を搭載。本業が忙しい兼業投資家にとって、注文機を搭載するマーケットスピード2は、非常に便利な取引ツールであるといえます。
また「いちにち定額コース」を選択すると、1日の約定代金100万円まで、取引手数料が無料となるため、コストを抑えられます。
さらには楽天証券で取引をすると、取引手数料の1%に相当するポイントが獲得できるだけでなく、お買い物で獲得した楽天ポイントを使って、投資をすることも可能です。
楽天証券の口座は、楽天会員であれば30秒、楽天会員でなくても2分程度で開設が完了します。日頃から楽天のサービスを頻繁に利用している人は、楽天証券で口座を開設すると良いでしょう。
SBI証券
SBI証券とは、 さまざまな金融事業を展開するSBIホールディングスの参加にある証券会社です。SBIホールディングスの傘下にある金融サービス会社には、他にも「住信SBIネット銀行」や「SBI損害保険株式会社」などがあります。
SBI証券がおすすめである理由は、以下の3点です。
- 国内株式個人取引シェアNo.1
- IPOの取り扱い実績が豊富
- 取引手数料が割安
SBI証券の口座開設数は、600万口座を突破しており、国内株式個人取引シェアNo.1です。また「2021年みんなの株式ネット証券比較ランキング」で総合1位を獲得しており、国内証券会社の中でも屈指の実績があります。
SBI証券は、IPO株の取扱実績がネット証券会社の中でも飛び抜けて多いです。IPOの抽選に落ちた人を対象に、次回以降の当選確率を上げるポイントを付与する「IPOチャレンジポイント」を実施しています。
「アクティブプラン」を選ぶと、1日の約定代金100万円まで取引手数料が無料です。
迷ったときは、SBI証券か楽天証券のどちらか、あるいはその両方の口座を開設すれば問題ないと言っても過言ではありません。
松井証券
松井証券とは、1918年に創業した証券会社で、100年以上の歴史があります。 もともとは対面販売を中心とした証券会社でしたが、1998年にインターネット証券へ参入したのをきっかけに、大きな成長を遂げました。
松井証券を投資の初心者におすすめする理由は、以下の3点です。
- トレードツールが便利
- 取引手数料が割安
- サポートが手厚い
松井証券のトレードツール「ネットストック・ハイスピード」は、銘柄の注文や分析、情報の検索まで幅広くカバーしているため、高機能かつ初心者にも扱いやすいです。
あらかじめ注文条件を設定しておくと、ワンクリックで発注ができる「スピード注文」や、株価ボード・チャート・発注画面などが一体となった「株式Trading Center」など、さまざまな機能が搭載されています。
松井証券は、1日の約定代金が50万円を超えるまで、取引手数料が無料です。SBI証券や楽天証券と並ぶ低コストで、投資を楽しめます。
さらに松井証券は、サポートの手厚さでも評価されています。顧客サポートは、HDI-Japan(ヘルプデスク協会)が主催する「2020年度問合せ窓口格付け(証券業界)において、10年連続で最高評価の3つ星を獲得しているのです。
コストを抑えつつも、手厚いサポートを受けたい方は、松井証券の口座を開設すると良いでしょう。
LINE証券
LINE証券とは、コミュニケーションアプリ「LINE」を運営するLINE株式会社のLINE Financialと野村ホールディングスの共同出資で設立された証券会社です。
LINE証券がおすすめできる理由は、以下の3点です。
- LINEアプリから簡単に取引ができる
- 取引手数料がお得
- 少額投資が可能
LINE証券は、他のネット証券とは異なり専用の取引アプリではなく「LINEアプリ」で取引をします。多くの人々が日常生活でコミュニケーションツールとして利用しているLINEアプリで、株式や投資信託を手軽に取引できます。
またLINE証券は「投資信託の購入手数料」「1単元の現物株の買付手数料」「信用取引の売買手数料」が無料です。※信用取引とは、現金や保有株式を担保に入れ、証券会社からお金を借りて株取引をすること
投資信託が1口100円から、株式は1株数百円から購入できるのも、LINE証券の特徴です。株式は、通常であれば1単元(100株)からの取引となりますが、LINE証券では1株から購入でき、少額から株式投資を始められます。
LINE証券は、他のネット証券と比較して手軽に投資を楽しむことができる証券会社といえます
マネックス証券
マネックス証券は、マネックスグループ株式会社の完全子会社です。マネックスグループ株式会社の子会社には、他にも仮想通貨(暗号通貨)の取引所を運営するコインチェック株式会社があります。
マネックス証券がおすすめできる理由は、以下の2点です。
- 投資初心者を対象としたサポートが充実している
- 米国株の取扱銘柄数5,000超!
マネックス証券では、投資の初心者を対象に年間で200本以上のセミナーを開催しています。セミナーでは、市況の解説や投資テクニックの紹介など、金融商品の取引に役立つ情報が盛りだくさんです。
またマネックス証券の口座を開設すると、日本株や米国株の銘柄を分析する「銘柄スカウター」が利用できます。
投資する銘柄を判断する際は、企業の売上高や業績、 今後の事業計画など、さまざまな要素を分析しなければなりません。銘柄スカウターであれば投資に役立つ情報が見やすく集約されているため、投資の初心者でも分析がしやすいです。
またマネックス証券の米国株取扱数は、3000銘柄を超えており他の証券会社よりも選択肢が豊富。さらに米国株の1日の約定代金が、1.11ドル以下である場合、取引手数料は無料です。
日本株だけでなく、米国株の取引の楽しみたい方は、マネックス証券での口座開設がおすすめです。
まとめ:証券口座の開設や保有にはリスクがない
証券口座は無料で開設できるだけでなく、基本的に維持手数料もかかりません。また証券会社が破綻してしまっても、口座内にある資産が保護される仕組みがあるため、口座の開設や保有に対するリスクは無いと言えます。
これから証券口座を開設しようと考えている方は、以下の証券会社を検討するのがおすすめです。
- 楽天証券
- SBI証券
- 松井証券
- LINE証券
- マネックス証券
これらの証券会社は「手数料が割安」「手軽に投資できる」「初心者のサポートが手厚い」など、投資の初心者にとっては嬉しい特徴があります。
ご自身に合っていると思う証券会社をいくつか選び、口座を開設すると良いでしょう。