「リートって簡単に不動産に投資できるって聞くけど本当?」

不動産投資や資産運用に興味のある方の中には、リートについて詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
たしかにリートなら通常よりも少ない額で不動産に投資できますが、リートは投資初心者におすすめの投資方法とは言いにくい特徴があるのです。

この記事ではリートの概要を伝えた上で、投資初心者にリートが不向きである理由を7つ解説します。
これから投資を検討している初心者に向いている投資方法のひとつもご紹介していますので、ぜひ最後まで読むことをおすすめします。

そもそもリートとは?

リートのリスクやデメリットについて解説する前に、そもそもリートとはどんな投資方法なのか解説します。

リート(REIT)とは「不動産投資信託(Real Estate Investment Trust)」のことであり、その仕組みを一言でまとめると「不動産専門の投資信託」です。

投資家から集めた資金でマンション・オフィスビル・商業施設などの不動産を購入し、貸付や売却で得られた利益の一部を投資家に分配する仕組みです。

資金調達のために株式会社が株式を発行するのと同じように、リートを運営・管理する「投資法人」が証券取引所で「投資証券」を発行し、投資家から資金を集めます。

法律で投資法人の業務は制限されているので、実際には資産の運用・保管・事務処理はアウトソーシングとなります。

リートをおすすめしない7つの理由

リートをおすすめしない理由は次の7つです。

価格変動があり元本割れリスクもある
複利効果が得にくい
払う税金が多い
金融機関からの融資が受けられない
地震・台風など自然災害の影響を受ける
投資法人の倒産リスクがある
金利変動の影響を受ける

それぞれ見てみましょう。

理由1.価格変動があり元本割れリスクもある

株式投資・不動産投資などの金融商品と同じようにリートにも価格変動があり、元本割れのリスクもあります。

元本割れとは、金融商品の値下がりにより購入時の価格を下回り、売却しても赤字になってしまうことです。

元の価格より値下がりせず元本が保証されているのは銀行預金などですが、利率がとても低く資産を増やす目的には使えません。

理由2.複利効果が得にくい

分配金が投資家に還元されるリートは、複利効果が得にくい欠点があります。

複利効果とは、投資で得られた利益を受け取らずに投資資金として元本に組み入れ、さらに大きな利益を得るもの。
複利で運用すれば、発生した利益を再投資できるため、時間をかけるほど元本を増やしていけますが、リートの利益は分配金として出て行ってしまうため元本は増えません。

長期的な資産運用を目指すなら、複利効果は押さえておきたいポイントです。

理由3.払う税金が多い

株式投資同様にリートの分配金も課税対象であり、分配金を受け取りやすい仕組みであるリートは払う税金が多いといえます。

不動産投資であれば減価償却を利用したり、株式投資であれば利益を受け取らず再投資するなど、税負担を軽減させる方法がありますが、リートの場合は税負担を抑えにくい特徴があるのです。

理由4.金融機関からの融資が受けられない

投資目的では金融機関から融資を受けられないため、リートの資金はすべて自分で用意する必要があります。

投資対象の不動産を担保に借入してレバレッジを効かせる不動産投資のようにはいかないのが残念です。

理由5.地震・台風など自然災害の影響を受ける

不動産投資では、地震や台風などの自然災害で物件に被害が出ると、修繕などにコストが掛かります。

リートも不動産に関係する投資なので、自然災害の影響は避けられません。

リートでは賃料や売却益の一部が分配金となりますが、災害リスクを被ることで、分配金を減らして修繕費に回される可能性があります。

理由6.投資法人の倒産リスクがある

リートを運営・管理する投資法人にも倒産があり得ます。

例えば、リート初の倒産はニューシティ・レジデンス投資法人で2008年のことでした。
当時の不動産価格の下落とサブプライム問題の影響で、銀行からの資金調達が困難になったのが原因のひとつです。

したがって「リートだから倒産リスクがなく安全」ということはないのでご注意ください。
理由7.金利変動の影響を受ける
リートの価格や分配金は、金利変動の影響を受けます。

投資法人は金融機関からの融資も受けているため、金利上昇で利息が高くなると収益が悪化する可能性が高いです。

そしてその収益の悪化がリートの価格や分配金にも反映されます。

リートに投資するメリット

リートのメリットは次の通りです。

気軽に不動産投資できる
不動産の分散投資に向いている
流動性が高い

初期費用の高さや不動産の維持・管理でハードルが高いと思われがちな不動産投資ですが、低価格で買える上に、自分で物件を管理する必要のないリートであれば、気軽に不動産投資ができます。

また、個人投資家では手を出しにくいオフィスビルや商業施設にも投資でき、不動産の中での分散投資にぴったりです。

加えてリートの流動性の高さも魅力のひとつでしょう。

不動産売買は手続きが煩雑で、売却を決めてから売却完了まで半年以上かかることも珍しくありません。

その点、株式と同じように扱えるリートは取引に長時間かからないため、扱いやすい強みがあるのです。

リートに投資するデメリット

リートに投資を検討している方は、メリットだけではなくデメリットも押さえておきましょう。

不動産を所有できない
自然災害の影響を受ける
上場廃止リスクがある

リートでは不動産に投資しますが、実際の不動産を所有できない点に注意です。

不動産を保有していれば、減価償却によって複数年の課税所得を圧縮したり、固定資産評価額によって相続税を減らしたりすることが可能ですが、リートの場合は投資しても税負担を軽減できません。

また、地震・台風などの自然災害で建物が損壊すると修繕が必要になり、分配金が少なくなる可能性があるのもデメリットです。

さらに、ほかの株式会社と変わらず投資法人も条件に該当したら上場廃止になります。

上場廃止のニュースでは価格が暴落するので注意してください。
リートが向いている人・向いていない人
リートが向いている人・向いていない人を紹介します。

向いている人

リートが向いているのは次のような人です。

株や債券以外の投資方法を探している人
不動産投資の初期費用の高さにハードルを感じる人
運用や管理を任せたい人

不動産を扱うリートの場合、株や債券とは価格変動のタイミングが異なりがち。
したがって、すでに株や債券に投資している人のリスク分散に向いており、ポートフォリオ全体を安定させるのに便利です。

また、不動産投資の初期費用は購入価格の8〜15%と言われ、数百万円もの資金が必要になることもありますが、一方でリートの場合は数万円からと少ない元手で不動産に投資できます。

投資信託の一種なので、運用や管理を専門家に任せられるのも強みでしょう。

向いていない人

次のような人は、リートが向いていません。

複利効果を使って長期的に投資したい人
低リスクの投資を試してみたい人
ハイリターンを狙いたい人

リートで得た利益は分配金として投資家に配られるため、再投資による複利効果は得られません。

分配金の利回りは4〜6%ほどで税金も納めなければならないため、受け取った分配金で再度リートを購入するにも、50万円ほど投資してやっと安い銘柄を買えるくらいでしょう

そのため複利効果を使った長期的な資産運用には向きません。

また、1口当たりの購入価格がそれほど安くなく、元本割れや自然災害リスクもあるため、低リスクな投資を試すならほかの投資方法が安心です。

そして急激な価格変動が起きにくいリートは売却益よりも分配金で利益を得るタイプの投資で、株式投資のように株価の急騰でハイリターンを得るケースはほぼありません。

リートは、ミドルリスク・スモール〜ミドルリターンと考えるのがいいでしょう。
リート以外のおすすめ投資方法
リート以外の投資方法としては、投資信託をおすすめします。

リートも不動産を扱う投資信託のひとつですが、ここでおすすめするのは不動産ではなく株式や債券を扱う投資信託のことです。

1口数百円から買えるため低リスクで、複利効果を使う長期的な運用に向いています。

不動産関係の投資にありがちな自然災害リスクがないのも安心ですね。

資金・知識・経験・勘などを総動員する株式投資は自由度の高さが魅力ですが、始めやすさや資産運用の経験を積むために、まずは投資信託からスタートしてみてください。

リートについてよくある質問

次の3つがリートについてよくある質問です。

リートは長期投資に向くの?
海外リートならおすすめ?
リートと株どっちがいい?

それぞれお答えします。
Q1.リートは長期投資に向くの?
長期投資の方法としては、リートはあまりおすすめできません。

なぜなら、複利効果が期待しにくく自然災害による値下がりリスクもあるためです。

リート1口の価格は安い銘柄でも2万円前後が多く、分配金で再びリートを買うには時間がかかります。

さらに、日本は地震や台風といった自然災害が多く、建物の損壊でリートの価格が下落してしまうのも気がかりです。

リートを長期保有するほど自然災害に遭遇する可能性が高くなる点に注意しましょう。

Q2.海外リートならおすすめ?
リスクの高い海外リートは、投資初心者には難易度が高めです。

たしかに海外リートは国内より利回りが高めですが、その分リスクもあります。

日本のリートの銘柄数が少ない理由は、法令をクリアした銘柄のみを取引できるためであり、逆に海外リートは規制が緩く選べる銘柄も多いですが、ハイリスクな銘柄も含まれています。
加えて現地の不動産情報が手に入りにくいのも不安材料でしょう。

高利回りだけに気を取られないよう、冷静に判断するのを推奨します。

Q3.リートと株どっちがいい?
どちらの投資方法にも向き不向きがあるため一概には言えませんが、株をおすすめします。

もちろん株にも元本割れのリスクはありますが、リートには元本割れのリスクだけではなく、建物損壊といった不動産独自のリスクも含まれているのです。

株は選び方や買い方次第でリスクを減らせます。
ただ、投資の経験を積むのに資金が必要なので、「リスクを抑えて投資を始めたい!」という方には数百円から買えるローリスクな投資信託がおすすめです。

REIT(リート)まとめ

この記事では、投資初心者にリートをおすすめしない理由について解説しました。

リートは気軽に不動産投資に挑戦できますが、価格変動リスクや災害リスクにも注意が必要です。
さらに複利効果を受けられないため、長期投資にも不向きといえます。

これから投資を考えている方は、株や債券・コモディティに分散投資できる投資信託がおすすめです。
たしかに投資信託にも価格変動リスクはありますが、不動産独自のリスクはありませんし、自分で運用する必要もありません。

初めて投資をする方は、証券会社で利用できる「つみたてNISA」を活用し、インデックスファンドの購入から始めてみてはいかがでしょうか?

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