サウジアラムコは世界最大の石油会社で、株式の時価総額でもアップルと世界一を争っています。ただ、個別株での購入はできないので、投資信託やETF(上場投資信託)で間接的に購入するしかありません。この記事では、サウジアラムコの特徴やおすすめのETF、投資信託について紹介します。
サウジアラムコ(サウジ・アラビアン・オイル)株を買うにはネット証券での口座開設が必要
サウジアラムコはサウジアラビアの国内証券取引所タダウルに上場しているので、個別株を直接購入することはできません。そこで、サウジアラムコ(サウジ・アラビアン・オイル)を組み入れた投資信託の購入をおすすめします。
サウジアラムコに投資するファンドは「アムンディ・アラブ株式ファンド」です。「アムンディ・アラブ株式ファンド」についての詳細はのちほど解説しますが、同ファンドを購入できるネット証券は「それぞれの特徴について解説します。
SBI証券
SBI証券は、投資信託の取り扱い本数が業界トップクラスです。また、2019年12月からは投資信託の販売手数料が無料となり、すべての投資信託を「ノーロード」で購入できるようになりました。
投資信託は一括で購入しても積立で購入しても購入総額が大きくなることが多いため、数%の販売手数料でもバカにならない金額になってしまいます。その点、SBI証券なら、販売手数料を一切気にせず投資信託を購入できるというメリットがあるのです。
そして、最近は「ポイントサービス」や「ポイント投資」が人気を集めていますが、SBI証券でも株式取引や投資信託の保有でTポイントが貯まる「SBI証券Tポイントサービス」が提供されています。
以前は「SBIポイント」という独自のポイントが貯まるサービスでしたが、2019年9月に共通ポイントの「Tポイント」と提携し、より使い勝手の良いサービスに生まれ変わりました。
楽天証券
楽天証券では、ネット証券でもトップクラスのた、買付手数料はすべて無料です。
さらに、楽天証券はポイントサービスが魅力です。投資信託の残高に応じ、楽天ポイントがどんどん貯まります。
たとえば「ハッピープログラム」では、楽天銀行に口座を持っていれば、投資信託で一定の残高を達成するごとに10~500ポイントを獲得できるのです。そして、投資信託以外の商品でもポイントを獲得するチャンスがあります。
また楽天銀行の口座を持っていなくても、「資産形成ポイント」を利用すれば投資信託で一定の残高を達成すること10~500ポイントを獲得できます。
さらに、「投信積立サービス」も利用可能です。積立なら月々100円から投資でき、カードや銀行からの引き落としも可能です。
サウジアラムコは世界最大の石油会社
サウジアラムコはサウジアラビア王国の国営石油会社で、世界最大の原油埋蔵量、原油生産量、輸出量を誇っています。
同社の前身は、米国の会社が設立したものです。米国の石油会社ソーカル社(現シェブロン社)は、サウジアラビアで石油開発を始め、1933年に利権を獲得しました。1944年、利権の半分を購入していたテキサコ社などが加わり、社名を「アラビアン・アメリカン・オイル・カンパニー(ARAMCO)」に変更したのです。
1970年代に入ると、サウジアラビア政府が同社の経営に参画するようになり、1988年には事実上国有化。旧アラムコの資源と権益を引き継いだ国営のサウジアラビア石油会社が誕生、「サウジアラムコ」と改称されました。
サウジアラムコはもともと、ロックフェラー家が支配するスタンダード・ペトロリアム・カリフォルニアがサウジアラビアの石油開発権益を取得した際に設立した現地法人でした。したがって、そのルーツはアメリカであり、幹部もアメリカ人だったのです。
その後、サウジアラムコの事業拡大に伴い、エクソン、モービル、テキサコなどの資本提携先や、スタンダード・オイル・カリフォルニア(後にシェブロンと改称)が加わり、一大ジョイントベンチャーを形成していくことになります。
しかし、産油国でのナショナリズムの高まりから、「石油会社を国有化しよう」という動きが活発になってきました。そこで、サウジアラビア政府は、石油会社の国有化を決定したのです。
サウジアラビア政府は、1970年頃からサウジアラムコの株式取得を開始し、まず25%の株式を取得しました。そして、1970年代後半にはサウジアラムコの60%、1980年代には100%を取得し、サウジアラビアの完全所有となったのです。
サウジアラビアのサルマン国王の末子、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、王位継承者であることが確定しています。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は原油価格の下落で財政危機に瀕しているサウジアラビアを立て直すため、「ビジョン2030」と呼ばれる大規模な経済改革計画を発表。その中心的なプロジェクトが、サウジアラムコの株式の公募だったのです。
その株式を売却した資金で、これまでの石油一辺倒のサウジ経済構造から多様化することを目指しています。
サウジアラムコ株の買い方
iシェアーズ MSCIサウジアラビアETF (ティッカー:KSA)
サウジアラムコの個別株を購入することはできませんが、ETFの「iシェアーズ MSCIサウジアラビアETF (ティッカー:KSA)」で間接的にサウジアラムコに投資できます。
ETFとは「Exchange Traded Funds」の略で、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託で、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)など、特定の指数の動きに連動して投資成果を上げることを目的とした投資信託です。
ETFは、株式だけでなく、債券やREIT(不動産投資信託)、通貨、商品などにも投資できます。投資先の幅も日本から海外に広がり、投資しにくい国や地域、資産にも投資しやすくなっているのです。
「iシェアーズMSCIサウジアラビアETF(iShares MSCI Saudi Arabia ETF)」は、米国籍の上場投資信託(ETF)です。サウジアラビアの株式で構成される広範なインデックスに連動する投資成果を目指します。組入上位銘柄は、以下の通りです(2022)。
1. アルラジ銀行 13.69%
2. サウジ・ナショナル・バンク 12.01%
3. サウジ・ベーシック・インダストリーズ 7.07%
4. サウジ・アラビアン・オイル(サウジアラムコ) 6.97%
5. サウジアラビアン・マイニング 4.63%
過去5年間の値動きは、以下の通りです。
出典:ブルームバーグ
また、投資信託でも間接的にサウジアラム株に投資できます。
アムンディ・アラブ株式ファンド
基準価額 15,850円
信託報酬 2.254%(年率・税込)
純資産残高 30.3億円
【騰落率】
1カ月 2.44%
3カ月 -6.57%
6カ月 16.02%
1年 40.35%
(2022年7月末時点)
「アムンディ・アラブ株式ファンド」は、アラブ地域を中心とした中東・北アフリカ諸国で事業を展開する企業に投資するアクティブファンドです。主な国・地域は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、エジプト、レバノン、カタールなどがあります。
7月末時点における組入銘柄数は68で、組入上位5銘柄は以下の通りです。
1. サウジ・ナショナル・バンク(サウジアラビア)9.77%
預金口座や自動車リース、住宅ローン、資産運用、プライベートバンキングなど金融サービスを提供する商業銀行です。
2. アルラジ銀行(サウジアラビア)8.82%
クレジットカードやオンラインバンキング、テレフォンバンキングなどのサービスを提供するサウジアラビアの銀行。
3. アルインマ・バンク(サウジアラビア)6.19%
サウジアラビアのリヤドに本拠地を置く商業銀行です。
4. ファースト・アブダビ・バンク(UAE)4.57%
UAE最大の銀行として不動の地位を確立。湾岸協力会議(GCC)内でも最大級の規模を誇ります。
5. サウジアラムコ(サウジアラビア)4.13%
サウジアラムコは(サウジ・アラビアン・オイル)は第5位で、4.13%の組入比率となっています。
サウジアラムコ上場時の時価総額は過去最大
サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは、2019年12月11日、サウジアラビアの国内証券取引所タダウルで株式上場しました。上場時の時価総額は約1兆877億ドル(約200兆円)で、米アップル社(約1兆2千億円)を抜いて世界最大の上場企業となったのです。
資金調達額は256億ドルで、2014年の中国のアリババ・グループ(250億ドル)を上回り、過去最高となりました。ただ、売りに出された株式はサウジアラビア国内の投資家向けで、共同幹事に名を連ねたSMBC日興証券など日本の大手企業を通じても、個人投資家による売買はできませんでした。
サウジアラムコは国内上場の成功を足がかりに海外上場を目指す意向でしたが、コーポレートガバナンス(企業統治)への懸念などから海外投資家は慎重な姿勢を示しました。東京証券取引所などはアラムコの上場を誘致する方針でしたが、サウジ政府は2020年までの海外上場を実質的に取り下げたのです。
2022年も一時、時価総額世界一に
サウジアラムコの株価はしばらく低迷していましたが、2022年5月11日、米アップルを抜いて時価総額世界一の企業になりました。原油価格の上昇がアラムコの株価を押し上げる一方、ハイテク株はインフレ率の上昇で上値が重くなったからです。
アラムコの株価は過去最高値近くまで上昇し、時価総額は約2兆4300億ドル(約315兆2000億円)で2020年以来初めてアップルを上回りました。
また、世界の企業
ただ、夏以降の原油価格下落により、8月末時点ではアップルが時価総額1位になり、サウジアラムコは2位になっています。
さらに、9月も原油価格は下落しています。9月7日のニューヨーク・マーカンタイル取引所では、原油価格の指標となる米国産WTI原油の先物価格が大幅に下落。終値は前日比4.94ドル(5.69%)安の1バレル=81.94ドルでした。
世界経済の減速で需要が落ち込むとの懸念が強まり、約8カ月ぶりの安値をつけたのです。ロシアのウクライナ侵攻後、原油価格が高騰した2022年3月には1バレル130ドルを超え、各国でエネルギー価格の上昇をはじめとする物価上昇の原因となったのです。
しかし、中国における新型感染症ウイルスの感染拡大や景気の下振れ懸念、欧米の主要中央銀行が物価高を抑制するために金融引き締めを加速させるとの見方から、世界経済の減速懸念が強まり、今後も原油価格の上値が重い展開は続く可能性が高いと考えています。
サウジアラムコの追加上場計画
サウジアラビアは、国営石油会社サウジアラムコの株式を追加上場する計画を立てています。売却額は最大500億ドル(約5兆7,500億円)で、最近の株価水準に基づくと同社株の2.5%に相当する可能性があるのです。
サウジアラムコの幹部は、リヤド証券取引所への追加売却とセカンダリー上場について外部のアドバイザーと協議しており、セカンダリー上場先としてロンドンやシンガポールが挙がっています。
サウジアラムコは2019年にサウジ証券取引所に上場し、IPO(新規株式公開)で294億ドルを調達しましたが、その規模を大きく超える見込みです。
今回の追加上場は計画段階ですが、ロンドンやシンガポール市場に上場すればサウジアラムコ株の売買ができる可能性があるので、注目しています。
まとめ
サウジアラムコ株はサウジアラビアの証券取引所に上場しているので、直接個別株を購入することはできません。ただ、投資信託やETFを通じて間接的に購入できます。また、ロンドンやシンガポールに追加上場する計画があるので、今後の動向に期待です。