「不動産投資に興味がある」と家族や友人に話したところ「やめておいた方がいい」と止められたことのある方はいませんか?
たしかに不動産投資によって安定した利益を得ている投資家もいますが、不動産投資はコストと時間がかかるため気軽な投資ではなく、投資初心者にはハードルが高め。
不動産投資は物件の購入・貸し出しによって利益を得られるため「働かずにお金を稼げる!」と思われがちですが、実際は入居者との契約業務や対応・家賃の請求・物件管理などと他にもやるべきことが多く、「投資」というよりも「経営」に近いのが実情です。
本記事では、不動産投資のデメリットやおすすめできない人について解説します。
不動産への投資に迷っている方は参考にしてください。
どうやって収入になる?不動産投資とは
始めに不動産投資の流れと収入の種類についてお伝えします。
不動産投資の流れ
次が大まかな不動産投資の流れです。
1、不動産を選んで買う
2、貸し出して賃料を得る
3、不動産を売却する
シンプルにまとめると上記の3ステップですが、不動産の選び方や空室を埋める方法などさまざまなノウハウがあります。
2種類の収入
不動産投資で得られる収入は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類です。
インカムゲインはいわゆる家賃収入のことで、保有している不動産の賃料が利益になります。
一方、不動産そのものを売却した際の利益がキャピタルゲインです。
しかし、基本的に新築から時間が経つほど不動産価値は下がるため、キャピダルゲインだけで利益を得るのは現実的ではありません。
「不動産投資はやめとけ」「割りに合わない」と言われがちな理由
「不動産投資はやめておいた方がいい」と言われがちな主な理由は、知識や経験を求められる投資手法であるためです。
たしかに仲介業者や委託会社などのサポートがあれば、投資家にさほど知識がなくても不動産投資を始められます。
しかし、業者からどんなサポートが必要か、そもそもサポートの内容が価格に見合っているかなどの判断にどうしても知識が必要です。
知識が足りないままでサポートの依頼ばかりしていると、コストが膨れ上がり、その分利回りは下がってしまうでしょう。
不動産投資のデメリット
必ず成功する投資がないように、不動産投資にもやはりデメリットがあります。
次のようなものです。
- ある程度の初期費用が必要
- コントロールしにくい空室リスクがある
- 維持や管理に手間・費用がかかる
- すぐ利益にはならない
- 金利上昇でローン返済額が増えることがある
それぞれ見てみましょう。
ある程度の初期費用が必要
「不動産投資をはじめるには潤沢な資金が必要」とイメージしがちですが、多額ではなくともある程度の初期費用を用意した方がいいでしょう。
購入する不動産や自分の職業・年収といった属性などでケースバイケースですが、目安として不動産購入価格の8〜15%ほどを初期費用として準備してください。
3,000万円の不動産を購入するなら、240〜450万円です。
主な初期費用の内訳は、
- 不動産購入の頭金
- 不動産仲介手数料
- 金融機関から受けるローンの事務手数料
- ローンの保証料
- 印紙代
- 不動産登記における登録免許税
- 固定資産税・都市計画税
- 司法書士への報酬
- 火災保険料
- 不動産所得税(購入より3〜6ヶ月後)
金融機関のローンを利用すると少ない費用でも不動産投資をはじめられるものの、返済額が多くなり、収支が黒字なるまで時間がかかります。
また、資金が少ないほど余裕がなくなって判断力が落ちやすいのも注意です。
例えば、費用節約のために建物の維持・管理・修繕など様々なことを自分だけでやろうとしてしまう、といったケースが挙げられます。
無理のない作業は節約になりますが、自分の活動できる時間をなるべく確保したい場合、外部委託は避けられません。
委託も見据えてしっかり資金を準備しておくとストレスが少なくて済むでしょう。
コントロールしにくい空室リスクがある
空室リスクは工夫や努力によって多少コントロールできますが、中にはどうにもならないケースがあります。
例えば下記のような事例が挙げられるでしょう。
- 近くの学校・会社・商業施設などの移転・閉鎖で周辺環境が変わった
- 条件のいい近所の新築マンションに客が流れた
建物そのものではなく、外的要因による住宅需要の減少は対策が困難となります。
維持や管理に手間・費用がかかる
不動産投資は不動産の維持・管理に気を配る必要があるため、「不動産の購入・貸し出しで終わり」ではありません。
利益のためにも不動産の価値をなるべくキープする必要があるのです。
入居者が住み続けたくなるよう、トラブルに素早く対処する・業者に清掃を依頼するなどやるべきことが多く、手間と費用がかかります。
売却益を狙うにしても、整備されていない老朽化が進んだ状態では不動産価値が下がるばかりです。
地震・台風などの被害による予想外の修繕コストがかかることもあります。
すぐ利益にはならない
不動産投資は収支が黒字になるまで時間がかかります。
初期費用のほか日々の維持・管理費用に対して、1世帯あたりの家賃収入はそれほど多くありません。
不動産投資を始めたばかりで空室が目立つ段階では、収支がプラスになるまで我慢が必要です。
また、売却のタイミングが難しいのも不動産ならではの特徴です。
気軽に売買できる有価証券とは違って手続きに手間がかかるため、売却を決めてから実際の売却成立まで時間がかかりがち。
そのため、価格を下げて早期売却を考えるケースも多いのです。
金利上昇でローン返済額が増えることがある
不動産投資の資金としてローンを借りた場合、金利の上昇で返済額が増えることがあります。
返済期間が長いほど金利上昇によるダメージを受けるため、短期で借りた方が安心です。
また、固定金利で借りる手もありますが、金融商品が少なく金利も高くなります。
収支のバランスを考えながら慎重にローンを選びましょう。
不動産投資のメリット
不動産投資のメリットは次の2つです。
- 毎月家賃収入を得られる
- インフレに強い
それぞれ紹介します。
毎月家賃収入を得られる
不動産投資なら、毎月家賃収入を得られます。
さらに不動産の管理や維持を外部に委託すれば、自分の時間を使わずに済みます。
よく「不動産投資は不労所得になる」と主張する方もいますが、自分の労働時間をゼロにすることはできません。
しかし外注化を進めれば、自分の自由な時間を多く確保できるようになるでしょう。
とはいえ、委託にはコストがかかりますし、サービスの質の良くない委託会社に任せっきりにした結果、入居者が退去してしまったというケースもあります。
そのため、外注先は慎重に選ぶことをおすすめします。
インフレに強い
不動産はそれ自体に価値があり、物価変動に左右されやすい現金・有価証券よりも不動産の価格は安定しやすく、とくにインフレに強めです。
住居は生活に必須なので、景気が悪くなっても需要が減りにくいという点もあります。
不動産投資をおすすめできない人
次のような方は、不動産投資をおすすめできません。
- 資金が少ない人
- 投資経験が少ない人
- すぐ利益がほしい人
利益になるまでに時間がかかるのが不動産投資の特徴です。
なので、資金に余裕がなく投資経験も少ないと大きなストレスを抱えやすく、投資を続けることが困難になるケースもあります。
このような方は、まずは低リスクな投資で場数を踏むのがいいですね。
不動産投資をおすすめできる人
次のような方は、不動産投資をおすすめできます。
- トータルコストから利益を計算できる人
- 資金に余裕がある人
- 人に任せられる人
不動産投資は、初期費用のほかに管理・維持・修繕の費用やローン返済など複数のタイミングでコストがかかります。
これらのトータルコストから利益を計算し冷静に投資判断ができると安心です。
資金に余裕があって人に任せるのに抵抗がなければ、委託会社に維持・管理などをお願いするのがいいでしょう。
もちろん委託会社は精査すべきですが、不動産投資にかける時間を減らしつつ利益を得られる点はメリットです。
まとめ:投資初心者に不動産投資はハードルが高い
今回は不動産投資に関することをご説明しました。
不動産投資は、資金が少ない投資初心者にとってハードルが高めです。
金融機関のローンを使えば初期費用を抑えられるものの、やはり資金に余裕がある方が有利でしょう。
いきなりリスクを背負いやすい不動産投資にチャレンジするのではなく、まずは低リスクな投資信託などから経験しておくのがおすすめです。
特にSBIなどの証券会社で利用できる「つみたてNISA」なら、税負担を抑えられる上に、長期・分散に向いている投資信託を購入できるので、チャレンジしてみると良いでしょう。
※本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織などとは関係ありません。また、2021年11月時点での情報をもとに、わかりやすさを優先して解説していますので、細部は必ずしも厳密とは限りません。