脱炭素関連の投資信託をランキング形式で紹介
地球温暖化による気候変動が心配される中、「脱炭素」という言葉を耳にすることが多くなってきました。ただ、「脱炭素」が何を指しているのか、どういう意味なのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、脱炭素化とは具体的に何を指すのかをわかりやすく解説し、関連ファンドについて紹介します。
投資信託を購入するには証券会社の口座が必要
投資信託は、証券会社の「総合取引口座」(証券総合口座ともいう)を利用して取引します。まだ口座を開設されていない方は、インターネット上ですべての取引が完結するネット証券口座を利用すると便利です。
ただ、証券口座の開設には、運転免許証などの本人確認書類とマイナンバーが必要です。
取引口座を開設したら、いよいよ投資開始です。しかし、投資するためには資金が必要です。ネット証券の場合、銀行振込で証券口座に入金しないといけません。
通常、銀行から他の銀行口座に資金を振り込む際には振込手数料がかかりますが、証券口座に入金する際には手数料がかからない場合がほとんどです。証券会社が振込手数料を負担するのは、取引を円滑に進めるためです。
しかも、ネット振込は即時に反映されるケースが多いので、手続きが完了したらすぐに証券口座に入金されたことが確認できます。これで投資信託を購入する準備は完了です。
それでは、投資信託を購入するのにおすすめのネット証券を紹介します。
SBI証券
投資信託の本数は2,709本(2022年5月31日時点)と、業界最多水準を誇ります。また、投資信託を購入する際、金融機関やファンドによって異なりますが、手数料が発生する場合があります。
しかし、SBI証券では、すべての投資信託を購入する際の手数料は無料です。
どの種類の投資信託も手数料無料で購入できるのは、とてもオトクですよね。ただし、SBI証券で投資信託を売却する際の手数料は、ファンドによって異なるので注意が必要です。購入時に必ず確認するようにしてください。
また、SBI証券では2021年6月30日より、クレジットカードによる投資信託の積み立てが可能になりました。これにより、投資信託を積み立てながら、クレジットカードのポイントを貯めることができます。クレジットカードをよく利用する方、クレジットカードのポイントを積極的に貯めたい方は見逃せないサービスです。ただ、使えるのは三井住友カードだけなので、注意が必要です。
楽天証券
将来に向けた資産形成の重要性が高まる中、楽天証券は、創業の年である1999年から投資信託の取り扱いを開始し、近年は「楽天エコシステム(経済圏)」の強みを最大限に活かし、常に先進的なサービスの開発に取り組んでいます。
とくに、2017年には、楽天証券が投資信託の最低購入金額を1万円(積立は1,000円)から100円に引き下げ、「楽天ポイント」で投資信託を購入できる「ポイント投資」サービスを開始。
2018年にはクレジットカード「楽天カード」を利用し、事前入金なしで投資信託を積み立てられるサービスも開始しました。
2022年4月には投資信託の保有者が300万人を突破し、投資家にも人気がある証券会社です。
マネックス証券
マネックス証券で取り扱う投資信託は、すべて購入時の申込手数料が無料です。証券会社によっては、投資信託を購入する際に手数料を徴収するところがあります。
投資家にとって手数料はコスト以外の何物でもなく、手数料が大きくなればなるほど、投資信託の運用で得られる利益は少なくなってしまいます。
そのため、マネックス証券が投資信託の申込手数料を無料にしていることは、そのコストを負担する必要がないので、投資家にとって大きなメリットといえるでしょう。
また、マネックス証券には「マネックスポイント」という独自のポイントサービスがあり、投資信託を保有することでもポイントが付与されます。
国内株式型投資信託、外貨建てMMF、外国籍投資信託がポイント付与の対象です。
ただ、銘柄によってA~Cに分類され、付与率も異なります。貯まったポイントは、1ポイント1円単位で株式手数料に充当できるほか、マネックス証券の200ポイントから各種暗号資産に交換できるのです。
また、ポイントはPontaポイントやdポイントなどの他のポイントサービス、Amazonギフト券、ANAやJALのマイルにも交換できます。
脱炭素とは
脱炭素とは、地球温暖化の原因となる代表的な温室効果ガスである二酸化炭素の排出をゼロにする取り組みのことです。また、二酸化炭素の排出を実質的にゼロにした社会を「脱炭素社会」と呼びます。地球温暖化の加速を受け、脱炭素社会への取り組みが世界各地で進められているのです。
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの総排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すと宣言しました。
「カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素などの温室効果ガスの総排出量から、植林や森林管理などによる吸収量を差し引いた量を実質的にゼロにすることです。カーボンニュートラルの実現には、温室効果ガスの排出削減と温室効果ガスの保存・吸収の促進が必要になります。
脱炭素を目指す理由
世界の平均気温は、産業革命前(1850-1900年)と比較して、2017年時点ですでに約1℃上昇していることが明らかになっているのです。このままの状態が続けば、さらなる気温上昇が予測されます。
近年、国内外でさまざまな気象災害が発生しています。個々の気象災害と気候変動問題との関係を明らかにすることは簡単ではありませんが、今後、気候変動の影響により、豪雨や熱波などのリスクはさらに高まると予想されているのです。
日本においても、自然災害や水資源、健康、産業・経済活動への影響が懸念されています。
このような状況は、もはや単なる「気候変動」ではなく、私たちやすべての生物の生存基盤を揺るがす「気候危機」と考えられているのです。
パリ協定とは
地球規模の課題である気候変動問題の解決に向け、2015年にパリ協定が採択されました。パリ協定は、2015年にパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で合意され、2016年に採択されたものです。
「世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2℃を大きく下回り、1.5℃に抑えるよう努力する」という目的で、加盟国に対して二酸化炭素排出量の削減目標の設定と実施状況の提出を促しているのです。
米国や中国、EU(欧州連合)、日本などの温室効果ガス排出上位国を中心に、多くの国や地域がパリ協定に加盟しています。
高まるESG投資への関心
ESGとは、Environment(E)、Social(S)、Governance(G)の英語の頭文字を組み合わせたもので、「環境」「社会」「ガバナンス」を意味します。
企業が経営において長期的な成長を実現するためには、ESGの3つの視点が必要であるという考え方が、世界的に広まってきているのです。
人類は、地球温暖化や水不足などの環境問題、人権や差別などの社会問題など、さまざまな課題を抱えています。こうした中、2006年に「責任投資原則(PRI)」が発足し、ESGやESG投資に社会の関心が集まっているのです。
持続可能で豊かな社会の実現に向けたESGの取り組みは、今後もますます拡大していくことが予想されています。
そして、「脱炭素」もEnvironment(環境)に含まれているのです。私たちの住む地球は、経済的な豊かさを優先した人類の発展により、さまざまな環境問題に直面しています。しかし、世界が持続的に発展していくためには、国際的な対応とともに、企業や個人による環境問題の解決に向けた取り組みが必要です。
脱炭素関連ファンド 純資産残高ランキング
1. 脱炭素関連世界株式戦略ファンド(資産成長型) | 1253.26億円 |
2. 脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO) | 749億円 |
3. 脱炭素ジャパン | 455.9億円 |
脱炭素関連ファンドを、純資産残高順に紹介します。
脱炭素関連世界株式戦略ファンド(資産成長型)
基準価額 10,133円
信託報酬 1.848%(年率・税込)
純資産残高 1,253.26億円
1カ月 -0.99%
3カ月 -1.13%
6カ月 -16.57%
1年 -0.14%
(5月末時点)
世界の脱炭素関連銘柄に投資するファンドで、5月末時点における組入上位銘柄は以下の通りです。
1.L&F(韓国) 5.01%
リチウムイオン電池の構成部品である正極材を製造。電力貯蔵システムに使用され、電池容量を増加させる高ニッケル正極材に強みを持っています。
2.ビューロベリタス(フランス) 4.35%
二酸化炭素排出量とビルの省エネルギー適合性判定などのサービスを提供しているフランスの会社です。
3.GFLエンバイロメンタル(カナダ)4.29%
廃棄物処理事業を行っているカナダの企業。廃棄物処理過程で発生するCO2を削減する技術を提供しています。
4.ステランティス(オランダ) 4.28%
EV(電気自動車)をはじめとする新エネルギー車を積極的に導入し、グローバルに展開するオランダの自動車メーカーです。
5.フレッシュペット(米国)4.14%
米国のペットフードメーカー。植物由来の代替肉を使用した製品により、ペットフードが原因となる温室効果ガス排出量を削減しています。
脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO)
基準価額 9.894円
信託報酬 1.837%(年率・税込)
純資産残高 749億円
1カ月 2.6%
3カ月 6.0%
6カ月 6.0%
(5月末時点)
日本を含む世界の株式の中から、脱炭素社会の実現に向けたソリューションを提供する企業の株式に投資するアクティブファンド。5月末時点における組入上位銘柄は、以下の通りです。
1. マイクロソフト(米国) 5.8%
1975年にビル・ゲイツとポール・アレンによって設立されたマイクロソフトは、1985年にパソコン用OS「Windows」を開発しました。1990年には、Windows用のオフィスソフトとして「Microsoft Office」を発売しています。
2.Waste Connections(米国)4.0%
北米の総合廃棄物サービス会社で、主に固形廃棄物の収集や移送、処分、リサイクルサービスを提供。米国とカナダで事業を展開し、テキサス州ウッドランズとオンタリオ州ヴォーンに本社を置いています。北米の廃棄物管理会社としては第3位の規模を誇っています。
3.トリンブル(米国)3.5%
カリフォルニア州サニーベイルを拠点とするソフトウェアやハードウェア、サービスのテクノロジー企業です。トリンブルは、建築・建設、地理空間、天然資源・公共事業、輸送などのグローバルな産業をサポートしています。
4.サーモフィッシャーサイエンティフィック(米国)3.2%
米国マサチューセッツ州に本社を置く科学機器、試薬、科学サービス企業です。全世界で10万人以上の従業員を擁し、約400億ドルの売上高を誇ります。
5.エア・リキード(フランス) 3.0%
フランス・パリ7区オルセー海岸通り75番地に本社を置く、産業用ガスメーカーです。
脱炭素ジャパン
基準価額 9,600円
信託報酬 1.584%(年率・税込)
純資産残高 455.9億円
1カ月 1.9%
3カ月 -0.9%
6カ月 -5.2%
(5月末時点)
同ファンドは、脱炭素社会の実現に貢献する日本企業への投資を通じ、社会的課題の解決に寄与しながら投資収益を追求するアクティブファンド。日本企業は脱炭素関連の技術を持っている企業が多いので、脱炭素社会の推進に貢献することが期待されています。
5月19日に「クリーンエネルギー戦略」に関する有識者相談会が開催され、岸田総理から「今後10年間で、少なくとも官民協調で150兆円超の脱炭素分野での新たな関連投資」という具体的な言及がありました。
今後も脱炭素関連企業に継続的に投資されていくことが予想され、日本企業の存在感が増すことが期待されています。
まとめ
「脱炭素」に対する関心は年々高まっています。ただ、2022年になって米金利上昇やロシアのウクライナ侵攻によって、株式市場は軟調な展開になっています。脱炭素関連の投資信託の基準価額も下がっていますが、短期の値動きに一喜一憂するのではなく、長期での運用を心がけるようにしてください。