「ネット証券で口座を開設したいけれどもリスクはあるのだろうか」
「ネット証券はセキュリティに問題がありそうで怖い」
このように考えて、ネット証券での口座開設をためらっていませんか?
ネット証券で口座を開設するリスクは、ほぼありません。また情報漏えいや不正アクセスなどのセキュリティリスクは、ネット証券が実施する対策に加えてご自身でも注意を払うことで対策が可能です。
本記事では、ネット証券で口座を開設するリスクや対策方法、 おすすめのネット証券について分かりやすく解説していきます。
ネット証券の口座開設で気をつけたいリスク
ネット証券とは、口座開設の申込みから金融商品の取引までのすべてを、インターネット上で完結できる証券会社です。対して実店舗を構えており、担当営業者が付く証券会社を「総合証券」といいます。
ネット証券は、総合証券と同様に口座を開設するリスクは、ほぼありません。ただし不正ログインやウイルス感染などのセキュリティリスク対策は、必要となります。
証券口座を開設するリスクは基本的にない!放置でもOK
ネット証券で口座を開設するリスクが基本的にないといえる理由は、以下の3点です。
- 口座の開設費用や管理費用はかからない
- 証券会社が破綻しても顧客の資産は守られる
- セキュリティリスク対策にも注力している
ネット証券に限らず証券口座は、基本的に無料で開設が可能です。口座を開設したあとに維持費用や管理費用を徴収されることも、ほぼありません。
また証券口座の中にある顧客の資産は、証券会社の資産と分けて管理することが法律で義務付けられています。
証券会社が経営破綻したとき、仮に顧客の資産が返還されなかった場合は、「日本投資者保護基金」が、1顧客につき1,000万円までの資産を補償してくれるのです。
加えてネット証券では、以下のようなセキュリティリスク対策を実施しています。
- 通信を暗号化し顧客の財産やプライバシーが他人に知られないようにしている
- ネット上に表示されるソフトウェアキーボードを使ってログインIDやパスワード暗証番号を入力することでPCやスマートフォンの履歴に記録が残らないようにする
- 口座への出金を、あらかじめ登録した金融機関のみに限定する
- EV SSL証明書がサイトに適用されているのを可視化することでフィッシングサイトとの違いを見分けられるようにしている など
口座の開設や保有だけでは費用がかからず、顧客の資産を守る仕組みや対策が実施されているため、ネット証券で口座を開設するリスクはほぼないといえます。
ご自身でできるセキュリティリスク対策
証券会社のセキュリティがしっかりしているとはいえ、セキュリティ対策が不要というわけではありません。リスク対策を万全にするのであれば、口座の保有者もリスク対策をすることが大切です。
例えば、PCやスマートフォンの盗難・置き忘れによる情報漏えいを防ぐために、以下の対策をすると良いでしょう。
- ネット証券のログインIDやパスワードを端末に記憶させない
- 端末のメモ帳にログインIDやパスワードを記載しない
- 予測が困難で複雑なログインID やパスワードに設定する
- 証券会社ごとに異なったログインIDやパスワードにする など
端末がウイルスに感染することで、情報が漏洩したり不正にログインされたりする恐れもあります。
ウイルス感染の原因は「不正アプリのダウンロード」や「ECサイトや銀行などを装ったフィッシングサイトへのアクセス」などです。
ネット証券で取引をする場合は、セキュリティアプリのインストールや、最新OSへのアップグレードなどでリスクを回避しましょう。
ネット証券で取引をする際に生じるリスク
リスクを伴うのは、開設したネット証券口座で商品を取引するときです。
例えば株式や投資信託は、価格変動リスクがあります。購入したときよりも高値で売却して譲渡益(キャピタルゲイン)を得られる場合もあれば、安値で売却して譲渡損失(キャピタルロス)が発生する場合もあるのです。
また景気や国の金融政策などによる金利変動の影響を受けて、金融商品の価格が変動する「金利変動リスク」も代表的なリスクです。
他にも、外国の為替相場が変動することで、商品の価格が変動して利益や損失が発生する「為替変動リスク」や、企業や金融機関など、金融商品の発行元が倒産や経営不振により、債務が履行できなくなる「信用リスク」などがあります。
取引に伴うリスクの種類やリスクの高低は、投資先の金融商品によって異なります。 投資先を選定する際は、 期待できるリターンだけでなくリスクについても調べることが大切です。
ネット証券で口座を開設するメリットとデメリット
ネット証券で口座を開設する前に、メリットやデメリットを今一度確認しましょう。
ネット証券で口座を開設するメリット
ネット証券で口座を開設するメリットは、以下の3点です。
- 売買手数料が割安
- すぐに取引が開始できる
- 取扱商品が豊富
ネット証券は総合証券のように店舗の維持費用や、営業担当者の人件費がかかりません。そのため株式や投資信託を取引する際に支払う手数料やFXのスプレッド(為替手数料)が、総合証券よりも割安に設定されています。
またネット証券の口座開設手続きは、口座を申し込む人の情報をインターネット上で入力し、本人確認書類やマイナンバーカードの画像データをアップロードするのみです。
早いケースでは、口座開設の申し込みをした当日や翌日から取引が可能です。
ネット証券によっては、日本株だけでなく米国株や中国株などの外国株式を豊富に取り扱っています。
また通常は1単元=100株単位でしか購入できない株式を、1株あたりで購入できるネット証券や、上場前の新規公開株(IPO株)を豊富に取り扱う証券会社もあるのです。
ネット証券で口座を開設するデメリット
ネット証券で口座を開設するデメリットは、以下2点です。
- 担当者のアドバイスがもらえない
- 取引ができなくなる可能性がある
ネット証券は、総合証券のように専任の営業担当者からアドバイスをもらったりコンサルティングを受けたりできません。
そのためネット証券のマイページから閲覧できる銘柄情報や企業情報、専属アナリストによる分析をもとに、ご自身で投資判断をする必要があります。
またサーバーダウンやサイトが重くなる現象などで、 取引ができなくなる可能性があるのもネット証券のデメリットです。
ネット証券で口座を開設する方法
ネット証券で口座を申し込む手順は、以下の通りです。
- ネット上で申込内容を入力し本人確認書類とマイナンバー確認書類をアップロード
- 証券会社が審査。問題なければID・パスワードを発送
↓1〜2日後
- 自宅でID・パスワードを受領後、取引開始
総合証券では、口座開設の申込書類を取り寄せるときや、 記入した申込書と添付書類を返送する時に郵送でのやり取りが発生します。
そのため総合証券で証券口座を開く場合、 申込みから取引が出来るようになるまで1週間以上かかることもあるのです。
一方、ネット証券の場合は申し込み書類を取り寄せる必要もなく、書類を返送する必要もないため、最短で口座開設の当日又は翌日から取引が可能です。
ただし申し込む時間帯が遅かったり、申し込みからログインIDとパスワードの発行まで土日を挟んだりする場合は、取引開始まで数日かかる場合もあります。
証券口座の種類
証券口座に、以下の3種類があります。
- 特定口座・源泉徴収あり
- 特定口座・源泉徴収なし
- 一般口座
株式や投資信託などで利益を得た場合、利益の20.315%(所得税:15.315%、住民税:5%) の税金を納める必要があります。
特定口座は、証券会社が金融商品の取引で発生した年間の損益をまとめた「年間特定口座年間取引報告書」を作成してくれる口座です。
「特定口座・源泉徴収あり」では、証券会社が利益に対する税金を代わりに納めてくれます。「特定口座・源泉徴収なし」は、年間取引報告書をもとにご自身で確定申告をして、利益に対する税金を納めなければなりません。
会社員や公務員などは、本業の給与所得以外の所得が、年間で20万円以下である場合、確定申告が不要です。取引量が少なく利益が20万円以下と予想される会社員や公務員などは、特定口座・源泉徴収なしを開くと良いでしょう。
一方で利益が発生したときの確定申告を証券会社に任せたい方は、「特定口座・源泉徴収あり」を選ぶのがおすすめです。
一般口座は、年間の損益計算や確定申告を、口座の保有者がすべて行います。開設するメリットはあまりありませんが、 一部の未公開株を取引するときは一般口座が必要となる場合があります。
ネット証券の口座は複数開設がおすすめ
ネット証券の口座は、ひとつに絞らずできるだけ複数で開設するのがおすすめです。 証券会社によって、強みとしている商品やサービスが異なるためです。
また複数の口座を開くと、ひとつの証券口座がサーバーダウンやサイトが重くなる現象で取引ができなくなったとしても、他の口座で取引を継続できます。
証券会社によって取引ツールの使い勝手が異なるため、複数の証券会社で口座を開き実際に使用することで、ご自身にあったものを選べます。
以上の点から、証券口座はできるだけ複数で解説するとよいでしょう。
口座開設がおすすめなネット証券
ネット証券で口座を開設したいと考えている方は、以下の証券会社がおすすめです。
なお、ここで紹介する証券会社について詳しく知りたい方は「初心者におすすめのネット証券比較ランキング」も、併せてご一読ください。
楽天証券
楽天証券の特徴は、以下のとおりです。
- 「いちにち定額コース」では1日の約定代金100万円まで取引手数料が無料
- 投資家に人気のある取引ツール「マーケットスピードⅡ」を利用できる
- 楽天ポイントが貯まる・使える
マーケットスピードの使いやすさは、投資家のあいだで有名です。取引手数料も一定金額まで無料であるため、迷ったら楽天証券の口座を開設すると良いでしょう。
SBI証券
- 「アクティブプラン」では1日の約定代金100万円まで取引手数料が無料
- 口座開設数No.1(600万口座を突破)※2021年8月現在
- IPO株の取扱数No.1(2020年の取扱実績:85社)
SBI証券は、国内証券会社の中でも屈指の実績があります。国内株式や海外株式、IPO株などを豊富に取り扱っているため、SBI証券の口座を開設すると幅広く株式投資が楽しめます。
松井証券
- トレードツール「ネットストック・ハイスピード」が高機能かつ初心者も扱い安い
- 1日の約定代金が50万円まで取引手数料が無料
- 顧客サポートが手厚い
松井証券は、顧客サポートが手厚くトレードツールも扱いやすいため、投資の初心者におすすめです。
LINE証券
- LINEアプリがあれば簡単に取引が可能
- 「投資信託の購入手数料」「1単元の現物株の買付手数料」「信用取引の売買手数料」のすべてが無料
- 投資信託は1口100円から、株式は1株数百円から投資が可能
LINE証券の特徴は、とにかく手軽に株取引が楽しめる点です。気軽に投資を始めてみたい方は、LINE証券の口座を開設してみてはいかがでしょうか。
マネックス証券
- 米国株の取扱銘柄数5,000超!かつ、一定の約定代金まで取引手数料が無料
- 投資に役立つ情報が得られるセミナーを年に200本以上開催
- 日本株や米国株を分析する際に役立つ「銘柄スカウター」を利用できる
マネックス証券は、セミナーや分析ツールなど初心者向けのサポートが充実しています。
また米国株に投資をしたいと考えている方は、取り扱いが豊富なマネックス証券の口座を開設するのがおすすめです。
まとめ:ネット証券で口座開設する際はセキュリティリスク対策を万全に
ネット証券で口座を開設すること自体に、ほぼリスクはありません。口座の開設や保有に費用がかからないだけでなく、証券会社が経営破綻しても口座内の資産が保護される仕組みがあるためです。
またネット証券は、情報漏洩やウイルス感染などのセキュリティリスク対策にも注力しています。
ただしネット証券が実施する対策だけでは、セキュリティリスクに対処しきれない可能性があります。ご自身でもログインIDやパスワードの管理・設定に注意し、セキュリティ対策を万全にすると、取引をより楽しめるでしょう。