最近は、さまざまな方法で資産運用・資産形成をする人が増えてきました。そんな中で、特別なスキルを必要とせず、稼げる方法としてFXが取り上げられることがあります。FXのメリットとしては、口座開設が簡単なこと、スマホ1台で取引できることなどがあります。投資初心者にとってもっとも魅力的なこととして、レバレッジをかけられるというのもあります。
レバレッジをかけることで、少額から投資をスタートさせられるのが最大の利点です。しかし、レバレッジをかけることはノーリスクではありません。リターンを得られる可能性がある分、不確定要素であるリスクを抱えることにもなります。リスクを抱えすぎると、最悪の場合相場から退場といったことも起こり得ます。正しいレバレッジへの理解は、FXで安定的に稼ぐための必須項目です。
FXのレバレッジとは?
そもそもレバレッジとは、原義はレバー(=てこ)の作用という意味です。日本語でいう「てこの原理」というやつです。作用のことを指すことから、レバレッジ率やレバレッジ効果と呼ばれたりもします。
基本的に経済用語として、何らかの経済活動において、他人の資本を使うことで自己資本に対する利益率を高めることを指します。自己資本と他の資本を合わせたお金を使うことで利益率を高めることになります。
それゆえ、事業でいえば、銀行からの融資によって事業拡大を目指すことは、レバレッジをかけているといえます。不動産投資でいえば、銀行融資や保有する不動産を担保として新たに不動産を購入するといったことが該当します。
FXは、事業や不動産投資とは異なり、証拠金という自己資本をFX会社に預け入れることで、その金額に見合う資本を借り受けることができます。いわゆる金融における信用取引の一種です。レバレッジをうまく用いることで、自己資本の多くを割かずともFXなどの投資ができるといったメリットがあります。
注意点としては、レバレッジは利益率を高めるために用いるものですが、必ずしも利益の拡大につながるかどうかは分かりません。FXであれば、他人資本を用いた分リターンも大きいのですが、逆に負ければその分損失も拡大します。つまり、レバレッジを活用すればするほどハイリスク・ハイリターンの取引になりやすいということです。
FXの初心者におすすめのレバレッジは?
FXの利点はなんといってもレバレッジをかけられることです。資本効率が高まることで、元手がない人でもFXができることにスポットが当てられがちですが、元手があっても最初からうまく取引ができる人は多くありません。
元手が仮にあったとしても、自己資本を低くしておくことで、自己資本を減らさずに取引できるというのもレバレッジの良さです。自己資本比率が低ければ低いほどメンタル的に自己資本が減る危険性が下がるので、特に初心者にとって他人資本が活用できることのメリットは大きいです。
しかしながら、レバレッジは他人資本を活用し、手持ち以上の金額を扱うことになります。普段動かすことにない大金を動かす人も多いことでしょう。大金を動かすときのメンタルなどは、すぐに慣れるものではありません。できれば動かす資金は少しずつ大きくするのがおすすめです。
また、FX会社によってはデモトレードができないところもあります。取引の仕方は基本的にどこのFX会社でも同じですが、取引環境に慣れるための取引も多少必要となってきます。それゆえ、セオリーとして最初からレバレッジをかけすぎないというのが基本です。
まずはレバレッジ1倍で、自己資本分で取引するというのも一つの手です。慣れてきたらレバレッジをあげていくのが良いでしょう。日本国内のFX会社であれば、最大25倍のレバレッジをかけることができます。海外FXであれば、国内の規制はかからないので、最大1000倍のレバレッジがかけられるところもあります。(ただし、海外FXは日本の法規制の範疇を超えるので、すべて自己責任で行うことになります。)
レバレッジの種類について
そもそも、レバレッジには最大レバレッジと実効レバレッジの2種類があります。最大レバレッジとはその名の通り、かけられる最大のレバレッジのことです。基本的に国内のFX会社であれば25倍で固定されています。FX会社によっては、5倍や10倍といったレバレッジに固定できるところもあります。低レバレッジにしておきたい場合は、投資家側が最大レバレッジを決定できるところに口座開設をしましょう。
実効レバレッジとは、入金している証拠金と保有ポジション量(=ロット数)の評価額で決まるレバレッジです。基本的にレートの変動によって常に変動します。実効レバレッジの計算式は実効レバレッジ=ポジション評価額÷有効な証拠金です。通常の取引は、保有ポジション量に応じてレバレッジを調整するといった形になります。
FXの初心者におすすめしないレバレッジは?
基本的に日本のFX会社では最大レバレッジである25倍以上のレバレッジをかけたFX取引はできません。この25倍という数字は金融庁などによって投資家保護の観点から定められているものです。したがって、海外FXなどを使えば25倍以上の取引が可能ですが、初心者はこの25倍を超える取引はやめておいた方が賢明でしょう。
また、初心者が注意しなければいけないこととしてロスカット(強制決済)が挙げられます。これはFX会社の基準に合わせて、取引額のうち証拠金の割合が一定金額以上に下がった場合発動します。強制的にすべてのポジションが解消されてしまう仕組みです。
ロスカットは、投資家の大損失を避けるために強制的な決済が行われるものですが、レバレッジが高ければ高いほど証拠金比率は低くなってしまうため、ロスカットも起きやすくなります。ロスカットは証拠金比率が低下すれば必ず自動で働くシステムです。少額取引となれば、最大レバレッジをかければすぐにロスカットということも起こり得るので注意が必要です。
FXのレバレッジで借金するときは?
よく「FXで借金ができた」といったことが言われます。しかし、強制的な決済であるロスカットなどの仕組みがある以上、FXで借金するというパターンはかなり限定的です。
1番多いパターンとしては、ロスカット自体は作動したけれど、あまりにも為替が急に変動したため、ロスカットの約定に時間がかかってしまった場合です。いわゆる損切りラインを大きく超えて決済が行われたために、資金が枯渇状態になるケースです。この場合、追加で証拠金が請求されて自前で補えない場合は借金をする等の手段を講じることになります。
為替相場は24時間必ず動いているため、夜間など自分が取引をしていない時間帯に起こることもあります。そのため、ポジションを持ち続けることで変動リスクが高まることも知っておいた方が良いでしょう。
それ以外の原因としては、FX会社側のトラブルなどが考えられますが、投資家の責任ではありません。その場合は補填が必ずあるため、借金をすることにはならないでしょう。
FXのレバレッジで大損失を出さないためにやること
FX取引自体で借金を背負うことはほぼないとはいえ、FX取引にのめり込んで自己資金を使い切る人は少なくありません。損失が増えると損失を取り戻そうとして借金をしてまでFX取引を行う人がいるのも事実です。人間は利益に対する利確を我慢するよりも、損失を確定することに恐怖を覚える生き物です。それゆえ、借金を背負わないようにするためには、大損失を出さないといったことも重要です。
大きな損失を抱えないためには、上手にレバレッジを活用することが必要となってきます。上記の通り、最大レバレッジは25倍ですが、ロスカットのような事態を招かないようにレバレッジは実効レバレッジで調整すると良いでしょう。
レバレッジが高くなったらロット数を下げるといった処理をすることで、安定的な取引が可能となります。またFXは買いポジションとともに売りポジションも両方保有することができます。評価額の低下を防ぐために両建てしておくことで損失を防ぐといったリスクヘッジも可能です。
そして、損失を防ぐためには放置しないことが重要です。最近は自動売買などもできるようになってきました。自動売買はプログラミングの設定通りに動くのが良いところですが、相場に合っていなければ期待通りのリターンどころか損失を拡大する可能性もあります。自動売買でも相場に対してシステムが妥当であるかどうかを定期的に確認することなどが必要です。
FX初心者のためのレバレッジまとめ
FXは初心者でも簡単に取引ができて少額取引に対応している投資です。今や口座開設後すぐに取引できる会社も増えています。レバレッジのおかげで効率よく資金を使えるのも大きな魅力です。
他方、レバレッジが活用できてもうまく活用できずに損失を拡大してしまうことがあります。最大25倍まで国内FX会社ではレバレッジをかけられますが、最初は低レバレッジがおすすめです。少額取引の場合、最大レバレッジをかけて取引をするとすぐにロスカットしてしまう可能性もあります。
通常、ロスカットが作動すれば、損失が確定することがあっても借金を抱えるといったことまでは起こりません。ただし、急激な為替変動に約定が間に合わないことは時々あり、その場合に不足分を入金するように求められます。それゆえ、初心者は使える自己資本がそもそも少ないでしょうが、追証に備えた投資金額を決める必要があります。
言い換えれば、資金管理とレバレッジのコントロールができれば、相場から退場するといったことはありません。リスク軽減のために、実効レバレッジを意識したり両建てを行うなどの工夫が可能です。レバレッジをうまく活用してリスクを抑えれば、大きなリターンを得られる可能性があるのがFXの最大の良さといえるでしょう。