株で大損をした悲惨なサラリーマンの例
2012年末に始まった、いわゆるアベノミクスやアメリカのトランプ政権の誕生で近年日経平均株価は右肩上がりの上昇を続けています。
2012年12月28日の大納会に10395.18円だった日経平均は2018年9月時点で22000円を超え、株価は2倍以上になっています。
しかし、このような上昇相場であっても大きく儲ける人がいる反面、大きな損失を出してしまった人もいます。
ここでは、株取引で大損をしてしまった悲惨なサラリーマンの体験談を紹介します。
M.Sさん(34歳)は大手IT企業に勤めています。株投資歴は約4年。
「私が株投資を始めたのは2014年の年明けくらいでした。アベノミクスが始まってから周りでも株投資で儲けを出している人が結構いて、そんなに儲けることができるならと元手は200万円で株投資を始めました。
最初の頃は現物でそんなに大きいロットでは買わずにお小遣い稼ぎをしているような感じでした。ある時にTwitterで有名な株投資家がつぶやいていた低位株を買ってみたんです。
そうしたら、買ったとたんにみるみる株価が上がって投資金額の倍で売れたんです。その次は、また同じ有名投資家がTwitterでつぶやいた銘柄をいくつか買ってみたんです。そうしたらトータルでプラスになりました。
そうなると、その投資家がTwitterでつぶやいた銘柄だけ買っていればいいんじゃないかと思ってしまったんです。
儲かるなら信用取引も始めようということになって、信用口座を開設しました。
それでその投資家がTwitterでつぶやいた銘柄を3銘柄くらい信用余力いっぱいまで買ったんです。
そうしたらそのうちの1銘柄がバイオ銘柄だったんですけど、みるみる株価が上がってあっという間に株価が2倍になりました。ちなみに他の2銘柄は少しマイナスになっていました。
その時点で売れば良かったんですが、もっと株価が上がるだろうと欲をかいて売らなかったんです。
そうしたら2倍になった次の日かその次の日だったんですが、いきなりストップ安で引けたんです。
途中で逃げ場はあったんですが、いわゆるふるい落としっていうやつだろうと勝手に思って売らなかったんです。
そこから更に2日続けてストップ安付近まで値が下がって引けました。
その時点ではまだ少しプラスでした。
それでも一度は大きな含み益を出したので、どうしても悔しくて売れませんでした。
そうしたらとうとう含み損を抱えてしまったんです。
なのにまだ株価が元に戻るだろうと思ってしまうものなんですね。
更に含み損が増えたときに他の2銘柄のうち、1銘柄の株価が大幅に下がりました。
これで追証発生です。貯金を切り崩して追証の入金をしました。
はじめての追証だったのでまだ怖さが分からなかったんですね。
追証を入金して少ししたらまた余力が出来たので、その余力でまた信用買いをしてしまったんです。
しかも、また同じ有名投資家がTwitterでつぶやいた銘柄で。
今度は買った時点で株価が天井でした。
あとは含み損を抱えて、またすぐに戻るだろうと思っているうちに徐々に株価がは下がっていき、また追証発生です。
前回の追証で貯金を使い込んでいたので、20万円程でしたが借金しました。
さすがに懲りて、一度全部決済してから投資についてもう一度勉強してから、現物取引だけと決めて今も株取引をしています。
一番の反省は取引のルールを決めていなかったことです。特に損切りができなかったことが一番の原因だと今は思っているので、現在は最初にここまだ下がったら損切り、ここまで上がったら利益確定するということを決めてその通りに売買しています。
現在はそのルールに則って通算の損益はプラスになっています。」
株で大損をした悲惨な主婦の例
K.Tさん(33歳)は現在専業主婦です。
旦那さんは大手のメーカー勤務で、9歳になる子供がいます。
「私が株投資を始めたのは2015年でした。当時子供も小学校に上がって、どうせ家にいるなら何かできることはないかと思い株投資をすることにしました。子供が産まれるまで仕事をしていたので、元手はその時の貯金50万円から始めました。4月に日経平均が2万円を超えたとニュースでやっていて、株をやり始めたら儲かるんだろうなという軽い気持ちでした。最初は大手コンビニチェーンの株を買って、5月の日経平均の連続上昇に乗って順調に上がりました。
そのコンビニチェーンの株は売って、儲かると踏んで信用取引にも手を出したんです。
これが間違いでした。
株取引について色々と調べたら、儲けるためには1つか2つの銘柄に絞って投資をすべきということが書いてあったので、信用余力をほとんど使って大手ドラッグチェーンの株を買いました。
そうしたら8月に中国上海市場の暴落、いわゆるチャイナショックで一気に含み損になってしまったんです。
みるみる株価は下がっていき、あっという間に追証発生です。
もう自分の銀行口座のお金は全て元手に使っていたので、借金も考えましたが結局夫に相談しました。
相談せずに株投資をしていたのでものすごく怒られましたが、家庭の貯金から追証を払うことにしました。
借金はせずに済んだのですが、大事な家庭のお金を追証に充てたので、その分は夫と話して自分で仕事をして払うということになりました。
それでしばらくは昼間子供を実家に預けて近所のスーパーでパートをして追証分を補填しました。
実家が近所で本当に助かりました。
アベノミクスでこんなに損失を出すなんて、と落ち込みましたが、もう二度と株取引はしないと思います。」
株で大損をした悲惨なシニアの例1
N.Mさん(63歳)は2016年の3月に大手メーカーを定年退職しました。
退職金は約3500万円。それでも今はアルバイトをしています。
「私は定年退職してから株投資を始めました。老後の生活費を稼ぐ目的もあったのですが、65歳になったら年金ももらえますし、単に昼間やることが無くなったからという理由の方が大きかったのかもしれません。
元手は1000万円。あまり値動きの激しい銘柄は怖いなという思いがあったので、最初は大手自動車メーカーや商社などを中心に売買をしていました。信用取引は一度もやったことはありません。
現物取引だけだったので、2016年のイギリスのEU離脱やトランプ政権誕生の時に日経平均が暴落してもちろん含み損も出しましたが、追証が発生するようなことにはなりませんでした。
むしろトランプ大統領が選挙で勝った日には、なんとなく予感めいたものがあって追加で500万円入金して追加投資しました。次の日にそっくりそのまま株価が戻ったので大きな利益になりました。
思えばそれがきっかけだったのかもしれません。徐々に値動きの激しい銘柄に手を出すようになったのです。
2016年はアメリカ大統領選の時の利益もあってプラス収支でした。
2017年は新興株などに手を出して取引をしましたが、ほぼトントンで終わりました。
そして2018年の1月を迎えます。
2018年1月~3月にかけて話題になったニチダイ(6467)という銘柄を覚えているでしょうか?
それまで600円くらいで推移していた株価が3月には高値3980円を付けたのです。
私はしばらく他の銘柄をやっていたので、ニチダイに手を出したのは2800円くらいでした。
今でも忘れないのが、有名投資家が4000円以下は買いだと煽りまくっていたんです。
高値を付けた日、正直まだまだ上がると思っていました。
少し下げたときも調整だと思っていました。
しかし、ある日ストップ安になり、それが2日くらい続いたんだと思います。
途中で売ってしまおうとも思ったのですが、現物だからまだ様子を見ようと思ってしまったのが間違いでした。
4000円手前だった株価は1600円になりました。
1500円になった時に観念して売りましたが、この時点で損失は350万円になっていました。
そして、2月6日から始まる暴落です。
この2月~4月で含み損が300万円を超え、資金を追加しようかとも思ったのですが老後の生活のために取っておかなくてはいけないと思い一旦手じまいしました。
今は損失分の補填のためと、まだ仕事をしたいという気持ちもあって友人の会社で事務の仕事をさせてもらっています。
よく株の本などに株取引では損切りが大事というのは書かれていますが、いまは本当に実感しています。」
株で大損をした悲惨なシニアの例2
Y.Uさん(70歳)は現在も週5日アルバイトをしています。
「私は若い頃からギャンブルが好きで、競馬・パチンコ・ボートレースなど色々と手を出してきました。株投資を始めたのはライブドアが話題になっていたころで、一番初めにライブドア株を買いました。当時は100分割とかしていたころで、すぐにライブドア株で1000万近く儲かりました。
それで調子に乗りました。仕事もやめて専業になりました。
元来ギャンブルは好きなので、株の買い方も投機的な株の買い方ばかりしてたんです。最も多い時は信用でも4000万くらい建てていました。
私の投資法は仕手筋の手が入るような低位株に投資をすることが多かったんですが、ある時目いっぱい信用で建てていた銘柄が上場廃止になってしまったんです。
ニュースが出た次の日に全て売りに出したんですがもう手遅れでした。
追証ももちろん払えず、借金をすることもできずに自己破産しました。
それが11年前のことです。当時結婚もしていて、妻は不安定な自分の生活を心配してパートをしていたのですが離婚をして、今は娘と暮らしています。
一時期生活保護を受けていたこともあるのですが、しばらくして今の仕事を始めました。
あまりにもギャンブル的な株取引をしたツケが回ってきたということです。」
株で大損をしないためにやるべきことはこれ
ここまで株投資で大きな損失を出した人たちの体験談を紹介してきました。
大きな損失を出す人たちには共通点がありますが、主に以下の2つに絞られます。
1、売買ルールを明確にせず、なんとなく取引をしている
2、信用取引を余力いっぱいで行う
1の売買ルールはとても大事です。株価がどのように動くのかを一般の個人投資家が完全に予測するのは不可能です。
取引をする前にどこまで下がったら損切をして、どこまで上がったら利益確定をするかを決めておくことはとても重要です。
特に損切りがちゃんとできないと、ズルズルと損失が膨らんで最後は手が付けられないことになっている、というのが個人投資家が失敗する一番多いパターンです。
損失を出すのは悔しいことですが、損失を最小限に抑えて資金を上がる株に投資をするというのが株投資で最も重要なポイントだと言っても過言ではありません。
2の信用取引については、信用取引自体は悪いことではありません。少ない資金でもレバレッジを利かせて大きな金額を動かせることはとても魅力的です。
ただし、信用取引は証券会社から借金をして取引をしているということを忘れてはいけません。
自己資金と同金額程度までを信用取引する、というのがいいのではないでしょうか。
信用取引では少ない資金で大きな利益を生む可能性がある反面、同じだけリスクがあるということを常に頭に入れて売買を行ってください。
この2点をしっかりと頭に叩き込んで株投資をするだけで、大きな損失を出して株式市場から退場する可能性はとても低くなるはずです。
それどころか、退場せずに株投資をしていればいつかは大きな波に乗って大きな利益を得ることも可能なのです。