仕手株とはいったい何か?わかりやすく説明
株式投資に興味がある人であれば「仕手株」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
仕手株とは、大きな資金をもった特定の集団が特定の銘柄に大量に買いや売りを入れて、株取引が活発に行われているかのように見せかけ、一般投資家をその売買に誘い込みながら意図的に株価操縦を行う取引のことです。
この株価操縦を行う特定の集団のことを
「仕手筋」「本尊」
などと呼びます。
「仕手」の名前は能の「シテ方」(主役)に由来すると言われています。
仕手株の特徴としては、「特に理由がないのに突然株価が急騰する」ということが挙げられます。
仕手筋が仕手株を手掛ける際は下記のような手順で行われます。
1、仕手筋が仕掛けやすい銘柄を選び、その銘柄を長い時では数ヶ月かけて少しづつ集める。
2、株価が低い時に当初の目標の株数を買い集め終わったら、今度は大きく派手に買い始める。
3、株価と出来高が急騰している銘柄だと注目が集まり、一般投資家が株価上昇の波に乗ろうと買い始める
4、買いが買いを呼んでさらに株価が上昇していく
5、目標株価まで到達すると、ある日一気に仕手筋が大きな売りを出す
6、仕手筋が株を売り終わると、仕掛けが終わったということで株価はだんだん適正価格に戻っていく
7、売り遅れた一般投資家は塩漬け、もしくは大きな損切りをする羽目になる
このように、仕手株は上昇時に上手く波に乗れれば短期で大きな儲けを出すことができますが、反対に株価がてっぺんになったあたりで買うと短期で大きな損失が出てしまうリスクもあります。
ハイリスク・ハイリターンの取引になるのです。
仕手株を見つけるにはどうすればいいのか?
それでは、仕手株を見つけるにはどうすればいいのでしょうか。
実は仕手株になりやすい銘柄の特徴というものがあります。
仕手筋がいくら資金が豊富だといっても、トヨタ自動車のような日本を代表する大型株の株価操縦をすることはできません。
さすがにそこまでの資金は無いからです。
大型株とは、時価総額が高く、流動性が高い銘柄を指します。
仕手株として狙われるのはほとんどの場合大型株とは正反対の銘柄になります。
1, 発行済株式数が少なく浮動株比率が低い銘柄
発行済み株式数が少なくて浮動株比率が少ない銘柄だと、上で説明した一番最初の株を集める段階(玉集め)で自分たちでかなりの比率を集めることができるからです。多くの株式数を持っていた方が株価操縦がしやすくなるのです。
2、1単元当たりの株価が低く、時価総額が低い銘柄
仕手筋は最初の段階で他の投資家に気付かれないように、できるだけ多くの玉集めをしなければいけないわけですから、業績が悪く株価が低いいわゆる低位株の方が狙い安いのです。
また、一旦株価が上がり始めたときにも、買いやすい値段の方が一般投資家を巻き込みやすいためです。
時価総額の基準は、一般的には100億円未満が仕手株になりやすいと言われています。
3、空売りができる銘柄
株価が上昇して仕手筋が利益を確定する段階でわざと信用取引の空売りを集めることがあります。
自らは信用取引で集めていた玉を現引きしたりしてわざと追証や逆日歩を発生させることで買い戻しを狙うことができるからです。
上記が当てはまる小型株が仕手株として狙われやすいのです。
このような銘柄を探し当て、日々の出来高を見て一定の買いが入っていればいつか仕手株化するかもしれません。
仕手株情報があがる掲示板はここ
すでに説明したように仕手株は最初仕手筋がひっそりと株を買い集めます。
そのため、これが仕手株だというのは最初は仕手筋かその関係者以外には分かりません。
しかし、この銘柄が仕手筋なのではないかという情報がいち早く噂になるネットの掲示板などはあります。
情報の真偽は自分でも確かめなければいけませんが、ここでは仕手株情報があがる可能性の高い掲示板などを紹介します。
■5ch
掲示板といえばまず欠かせないのが5chです。
・市況実況1板
https://hayabusa9.5ch.net/livemarket1/
・株式板
・投資一般板
https://medaka.5ch.net/market/
■YAHOO!ファイナンス
誰でも見られる株式情報といえばYAHOO!ファイナンスです。各種ランキングや掲示板をチェックすることもできます。
リアルタイムでの出来事を調べるならTwitterの検索を使いましょう。有名投資家が仕手株情報をつぶやいていたりすることも!?
https://twitter.com/
仕手株のチャートの特徴
仕手株のチャートの特徴としては、上がるのも早いが下がるのも早いという特徴が見られます。
文字で書くと鋭角な三角形が出来上がるイメージです。
上がる時は急騰して、下がる時は急落するのでこのような形になるのです。
過去に仕手株になった銘柄一覧
仕手株は定期的に発生します。
上場企業は現在3600社以上(※2018年11月時点)あるため、あまり気付いている人がいないだけで常にいずれかの銘柄には仕手筋が介入しているといっても過言ではありません。
ここでは、過去に仕手株だと言われた銘柄を挙げていきます。
■ルック(8029)※現ルックホールディングス
有名な仕手株で、仕手筋として有名な「加藤 暠(あきら)」が仕掛けた銘柄です。
株価100円台から最高値800円以上にまで高騰させました。
■新日本理化(4406)
同じく「加藤 暠(あきら)」が仕掛けた銘柄です。
底値100円付近から、一気に1300円以上に急騰させました。
■RISE(8836)
業績も良くなく、特に買い材料が無かったRISEの株価が急騰したのは2013年。
約40円の株価が一気に150円近くまで急騰しました。
仕手株を買うと違法になるのか?
「株価操縦」などどという言葉も出てくる仕手株。
皆さん気になるのは、仕手株を買うと違法なのかどうかということだと思います。
一般投資家が仕手株を購入しても違法行為にはなりません。
違法行為になる可能性があるとすれば、「株価操縦」を行っている仕手筋です。
株価操縦行為は禁止されており、金融商品取引法により刑罰や課徴金等の罰則が適用されることになります。
株価操縦行為に当たる主な行為は以下になります。
■見せ板・見せ玉
実際に株式を売買する意図が無いのにもかかわらず、買い注文や売り注文を出したり取消したりを頻繁に行い、活発な売買が行われていると他の投資家に誤解させ、取引を誘引して株価の操縦を図ろとすることです。
■仮装売買・馴合売買
他の投資家を誤解させることを目的として、同一人物や結託した他人同士が同じ時期に同じ価格で売り買い注文を出して架空の需給を生み出し、株価の操縦を図ろうとすることです。
■終値関与
ある銘柄の終値を高く、もしくは安くすることを目的として、立会終了間際の発注において、直近価格よりも高い又は安い価格で終値を形成させる取引をすることです。
■買い上がり(売り崩し)
意図的にある銘柄株価を高く、もしくは安くすることで他の投資家に相場状況を誤解させて株価の操縦を図ろうとすることです。
■風説の流布
株価操縦を目的として特定の銘柄に関する嘘や根拠のないうわさを流すこと。他の投資家に誤った投資判断を取らせる可能性がある相場操縦行為として禁止されています。
その他、
・市場関与率が高すぎる場合(出来高の多くを自分が占めてしまうケース)
・高値更新、安値更新となるような注文を多発させる行為
・株価の下支えや頭抑えとなるような大量の注文の発注
なども株価操縦的に行為に当たります。
違反をすると、
・「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又は併科」
・「財産上の利益を得る目的で、上記の行為を行い、有価証券等の相場を変動させるなどした場合、10年以下の懲役及び3000万円以下の罰金」
・「不公正取引行為によって得た財産は没収」
・「法人にあたっては、犯罪を行った法人関係者個人だけでなく、法人そのものにも罰則がかけられる場合、その法人に対して7億円以下の罰金」
上記の様に重い罰則が科せられます。
また、損害賠償責任を課す規程もあります。
仕手株で稼ぐにはどうすればいいのか?まとめ
ここまで仕手株について説明してきました。
結論から言うと、株初心者が仕手株に積極的に手を出すのはリスクが高いと言わざるを得ません。
話題になっている上昇銘柄を買ってみたら、たまたま仕手株だったということもあると思います。
そのような場合には、欲をかかずに多少利益が出たら売却するのが良いでしょう。
株価が下がってきた場合は迷わず損切りしてください。
仕手株は上がり始めたらいつ下がるのかが全く分かりません。
それを知っているのは仕手筋のみです。
たまたま持っていた株が仕手化したというのならラッキーですが、上がり始めた仕手株に乗るのはいつ沈むか分からない舟に乗っているようなものです。
欲をかいては一緒に沈むことになってしまいます。
そして、株初心者というのは売るタイミングをよく分かっていないので、欲をかきがちです。
チャート分析やファンダメンタル分析をして、自分で選んだ銘柄を購入することを株初心者にはおすすめします。