・FXの法人口座のメリットやデメリットは?
・自分には法人口座と個人口座のどっちがいいのかな・・・
・法人口座と個人口座の税金の違いは?
といった悩みを解決できる記事を用意しました。
確かに、法人口座と言われても会社経営者でもない限り、具体的なイメージがわかないですよね。
しかし、法人口座にすることで節税できる方がいるのも事実です。
今回は、「FXで法人口座にするメリットやデメリット、税金の違い」などについて解説いたします。
FXの法人口座とは
FXの法人口座とは、その名の通り、法人としてのFXの口座です。
つまり、事業の一つとしてFXのトレードをしていきます。
法人口座には様々なメリットがありますが、同時にデメリットもあるため総合的な判断が必要です。
FXで法人口座にする6つのメリット
FXで法人口座にするメリットは主に6つあります。
2. 最長10年間損失が繰り越し可能
3. 必要経費の幅が広がる
4. 他の事業の損益と合算できる
5. 決算期をずらすことができる
6. 社会的な信用が増す
以下で順に解説させていただきます。
メリット1. 最大レバレッジが高くなる
まず、法人口座では最大レバレッジが高くなります。
国内かつ個人口座でFXをする場合は、金融庁の規制によって最大レバレッジは25倍に決められています。
しかし、法人口座ではFX業者や通貨ペアにもよりますが50倍以上はざらです。
例えば、ドル/円が100円のときに10万通貨トレードする場合、個人口座では最大レバレッジが25倍のため40万円が必要です。
しかし、法人口座を開設して最大レバレッジ50倍でトレードをおこなえば、必要な資金は個人口座の半額である20万円になります。
したがって、法人口座を使えば個人口座よりも少ない資金で大きなトレードができるため、圧倒的に資金効率が良くなるというメリットがあるのです。
メリット2. 最長10年間損失が繰り越し可能
法人口座でFXをした場合は、損失を最長10年間繰り越し可能です。
個人口座では損失の繰り越し可能な期間は最大で3年であるため、法人口座は非常に有利であると言えます。
要するに、法人口座を使ってFXをした方が損失を繰り越し可能な期間が長くなるため、個人口座よりも節税がしやすくなるのです。
例えば、法人口座で1年間の利益が1,000万円あった場合、過去10年間で累計1,000万円の損失があれば税金はゼロになります。
しかし、個人口座の場合は過去3年間しか損失を繰り越しできないため、過去3年間で累計1,000万円の損失がなければ税金はゼロになりません。
したがって、節税面でも法人口座は個人口座より非常に有利です。
メリット3. 必要経費の幅が広がる
法人口座は個人口座より、経費にできる支出の範囲が比較的広くなると言われています。
つまり、法人として必要な活動も経費として落とせるため、必要経費の幅が広がることで節税につながりやすくなるのです。
とはいえ、どこまで経費として認められるかは税務署の判断によることから、明確な線引きはできないことに注意しましょう。
メリット4. 他の事業の損益と合算できる
法人口座でFXをすると、他の事業と損益を合算できるようになります。
具体的には、「不動産所得」、「事業所得」、「山林所得」、「譲渡所得」の4つで損益を合算できます。
つまり、FX以外にも事業をする予定のある方、またはしている方にとっては節税につながる可能性があるのです。
個人口座でFXをして得た所得は雑所得に分類されるため、他の所得と損益通算ができません。
ただし、法人口座であればFX以外の他の事業と合算して損益を計算できます。
そのため、FXを含めた事業で損失が出た場合には、損益通算によって節税効果が期待できるのです。
メリット5. 決算期をずらすことができる
法人口座の場合は、決算期を12月以外にずらすことが可能です。
つまり、自分の都合の良い時期に納税をおこなうことができます。
しかし、個人口座では、個人事業主として申告が必要なため、決算期が12月に固定されてしまうのです。
法人口座では決算期を繁忙期ではない時期にしたり、出費が少ない時期にしたりすることで、業務や資金繰りを楽にすることができます。
メリット6. 社会的な信用が増す
法人口座を作るということは、自動的に法人を作ることになり、社会的な信用が増すことになります。
投資家やトレーダーは「無職」とみなされ、賃貸契約やローン、クレジットカードの審査などが通りにくいというのはよく聞く話です。
しかし、法人を作れば「会社経営者」となり、職業欄には「会社役員」と記載することができます。
会社役員であれば、無職よりも社会的な信用度が圧倒的に増すため、賃貸契約などの審査で困るようなことは少ないでしょう。
FXで法人口座にするデメリット
この項目では、FXで法人口座にするデメリットを4つ解説させていただきます。
2. 定期的に最大レバレッジを確認する必要がある
3. 法人設立や維持に費用と時間がかかる
4. 利益を自由に使うことができない
デメリット1. 含み益が課税対象になる
法人口座では含み益が課税対象になってしまいます。
FXにおける含み益とは、保有ポジションが未決済のため、未確定の利益のことです。
個人の場合、決済して確定した利益にしか税金はかかりません。
例えば、決済して確定した利益が50万円で、含み益が100万円だった場合には50万円のみに税金がかかります。
しかし、法人の場合は確定した利益と含み益の合計額に税金がかかってしまうのです。
仮に、決済して確定した利益が50万円で、含み益が100万円だった場合には150万円に税金がかかります。
そのため、個人口座の場合よりも税金が高くなってしまうケースがあることに注意しましょう。
デメリット2. 定期的に最大レバレッジを確認する必要がある
法人口座のレバレッジは、定期的に最大レバレッジを確認する必要があります。
というのも、金融庁が定める告示による算出方法にもとづいて、通貨ペアごとの為替リスク想定比率から計算される変動制になっているからです。
そして、レバレッジの変更は週単位でおこなわれます。
したがって、法人口座でFXをする場合には、定期的にレバレッジを確認するという手間がかかります。
デメリット3. 法人設立や維持に費用と時間がかかる
法人を設立するためには、ある程度まとまった費用がかかります。
設立時の費用の目安は、10万円から30万円ほどを見込んでおくとよいでしょう。
加えて、会社として運営していくための会計委託などの資金も合わせて必要になります。
また、会社を登記する際には費用だけでなく、時間もかかります。
逆に個人事業主の場合は、設立や維持の費用がかかることは基本的にありません。
法人口座は個人口座ではできない節税対策が可能になりますが、法人設立のための費用や時間に見合った価値があるか考えておこないましょう。
デメリット4. 利益を自由に使うことができない
法人口座でFXをする場合は、利益を自由に使うことができません。
というのも、会社として資金の透明性が必要になるからです。
要するに、事業用の資金とプライベート用の資金をしっかり分ける必要があることから、口座内の資金を自由に使えなくなってしまうのです。
そのため、法人口座でFXをすると「自分の都合で自由に資金を使えない」と覚えておきましょう。
法人口座と個人口座の税金の違い
FXの法人口座と個人口座では税率が違うため、自分の利益を計算してどちらが得なのかを知る必要があります。
国内FX業者の場合は法人口座の税率は、概ね20〜30%となります。
また、個人口座は約20%で一律です。
なお、一般的に個人事業主がFXで法人化する目安は、年間900万円以上の利益を出せるようになった段階と言われています。
なぜかと言うと、利益が900万円を超えると所得税率が33%になり、法人税率の23.2%を超えてしまうためです。
ただし、海外FX業者の場合は総合課税の雑所得となり、扱いが異なるため注意しましょう。
FXで法人口座にするメリットやデメリット まとめ
ここまで「FXで法人口座にするメリットやデメリット、税金の違い」などについて解説させていただきました。
FXで法人口座にするメリットは主に6つありましたね。
2. 最長10年間損失が繰り越し可能
3. 必要経費の幅が広がる
4. 他の事業の損益と合算できる
5. 決算期をずらすことができる
6. 社会的な信用が増す
特に、高いレバレッジでトレードができたり、損失を繰り越せる期間が長くなったりすることは法人口座の大きなメリットと言えるでしょう。
また、FXで法人口座にするデメリットは主に4つありました。
2. 定期的に最大レバレッジを確認する必要がある
3. 法人設立や維持に費用と時間がかかる
4. 利益を自由に使うことができない
法人設立や維持にかかる費用と時間に見合った利益をFXで出せるかどうか、一度よく考える必要があるでしょう。
誰でも法人口座が適しているわけではないため、じっくりと総合的に判断することをおすすめします。