初心者でもわかるチャートで見分ける株価が暴落のシグナル
株取引をしていてショックが大きいのが突然の株価暴落です。
株価が下落するにしても徐々に下落するのであれば途中で逃げ場はありますが、突然寄付きから大きく下がったり、最悪の場合は寄付きから株価寄らずのストップ安貼り付きのまま引けてしまうということもあります。
通常暴落は、企業業績の下方修正などのネガティブニュースや政治・経済情勢が原因で起こります。
では、あらかじめ暴落を予測することはできないのでしょうか?
実はチャートを分析することで株価の暴落の兆候を窺い知ることはできます。
ここでは株初心者の方でも分かりやすいように株価暴落のシグナルについて説明します。
■新値八手十手高値
高値更新が8日連続や10日連続を付けたチャート、もしくはそれに準じたチャートのことを言います。
高値がそれくらい続けば下落相場に転換するというシグナルです。
このチャートになると、ほぼ毎日高値を更新してきているだけあって、ある日大幅に株価が下落する確率が高くなります。
しかし、あくまで相場転換のサインの一つであるということは理解しておいてください。
■買い需要の欠如
株価は買いの需要が少ない時に大きな売りが出ると一気に下がります。
通常株価は上がるにしろ下がるにしろ、トレンドが生まれるときには大きな出来高が生まれます。買い方と売り方のやり合いが発生するからです。
一旦株価の流れが決まってしばらくは出来高も多いままですが、しばらくして落ち着いてくると今度は上がった株価がどこで下がるかという「売り目線」になります。
今までは買いたいという需要が高かったのに、その需要が無くなってくるのです。
この需要の欠如が分かるシグナルがあります。
具体的には、「前日より株価が上がったのに出来高が減った」日と「前日より株価が下がって出来高が増えた日」が続いた場合です。
株価が上がったのに出来高が減っていれば上昇パワーが少なくなったと言え、株価が下がった上に出来高が増えたということは下落パワーが大きくなったと言えます。
このような状態が続けば、買い需要がほとんどないために、何かがあれば、例えば大きな売りが出たとたんに株価は大きく下がる可能性がとても高くなるのです。
株価の上げ下げの転換点を予測することはできても、暴落を予測することはなかなか難しいことですが、上記のようなシグナルが出たら暴落に気を付けながら余裕を持った取引をしてください。
過去の暴落時の日経平均のチャートからみる暴落シグナルはこれ
ここでは、過去の暴落時の日経平均のチャートから分かる暴落シグナルを紹介します。
日経平均が暴落するのは、ここ最近はほとんどの場合海外の影響を受けてのものです。
記憶に新しい所ではアメリカの大統領選挙でトランプ大統領が当選した日や、イギリスの国民投票でEU離脱が決まった際には1日で日経平均は1000円以上の下げを記録しました。
日本国内で起きたことが要因で下げるのは、災害や政権交代などの場合が多いです。
では、過去のチャートから分かる日経平均の暴落シグナルとはなんなのでしょうか?
「初心者でもわかるチャートで見分ける株価が暴落のシグナル」でも説明した買い需要の欠如以外で初心者にも分かりやすいものといえば、「サイコロジカルライン」です。
サイコロジカルラインとは、前日比で上昇した日数が何%あるかを計算したテクニカル指標で、通常は12日間のデータを用いて計算されます。
1年は12ヶ月ですから、日経平均の場合は月で割った計算も用いられます。
12月のうち、前月比で上昇した月が何%あるかという計算になります。
サイコロジカルラインが75%(12ヶ月間で9勝3敗)を超えた場合は相場の過熱感を表すシグナルとして、25%(12ヶ月間で3勝9敗)を下回った場合は底値圏を表すシグナルとされています。
ここに面白いデータがあります。
75%で過熱感を表すサイコロジカルサインですが、1990年~2015年までに83%(10勝2敗)になったことが4回ありました。
そして、その4回とも大暴落を迎えているのです。
日経平均は月足のサイコロジカルラインで83%になったら要注意と思っていていいでしょう。
しかし、結局のところ過去のチャートから完全に暴落がいつになるかを把握することはとても難しいことです。
上記で説明したシグナルだけではなく、その他指標や世界で起きているニュースなどを見て総合的に判断していくことが大事です。
初心者が注意したい株価暴落が起きる兆候
株価暴落が起きる場合、基本的には理由はいくつかに限られ、大体主な理由としては上記が挙げられます。
- 株式市場が過熱している(買われすぎ)
- 世界情勢の大きな変化
- 災害、戦争
地震のような突発的な災害は予測することができないとしても、戦争危機や世界情勢の変化などは、ニュースに敏感であれば何が起きているのかは分かるので、常日頃注意を払っておくに越したことはありません。
株式市場の過熱感については、初心者でも分かるような指標がありますのでここで2つ紹介します。
■バフェット指数
投資の神様と言われるアメリカの有名投資家ウォ―レン・バフェット氏が使っている、株価の割高・割安を判断する指標です。
バフェット指数は株価の上昇はGDPと比例して上がっていくという考えのものに計算されており、「株式市場の時価総額÷GDP(国内総生産)×100」で導き出されます。
100%を超えると割高、100%を下回ると割安と考えます。
古くはバブルの頃には140%を超えていて、2008年のリーマンショック前や2015年のチャイナショックの前も100%を超えていました。
バフェット指数は100%を超えたからといって、いつもすぐに暴落が起きるわけではなく、数年経ってから暴落が起きる場合もあります。
しかし、このバフェット指数を1つの目安にすれば暴落の兆候を掴むことはできます。
■恐怖指数(VIX指数)
恐怖指数(VIX指数)とは「ボラティリティ・インデックス(Volatility Index)」の略称で、アメリカの主要株価指数「S&P500」を対象とするオプション取引の値動きを元に算出・公表しています。
通常は10~20という数値の間で推移しますが、この数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされています。
2018年2月6日に日経平均が場中1600円以上も下落したことがありました。
これは前日2月5日にNYダウが市場最高の下げ幅を記録して大暴落したことがきっかけでしたが、この暴落は恐怖指数が50以上にまで高まったことが原因でした。
この恐怖指数には日本版もあり、「日経平均先物」および「日経平均オプション」から算出され、「日経VI」と呼ばれています。
日経VIも基準となる数値は同様で、20以下が相場の先行きに楽観的なことを表し、20を超えると先行きに不安が高まっている状態を表します。
30を超えてくると不透明感が非常に高まっているとされます。
これらは各証券会社のニュース画面や、株式関連のWEBサイトでも確認できるのでチェックしておけば暴落の兆候を掴むことができるでしょう。
株価の暴落が一時的なものか?長期的なものか?見分けるテクニック
一旦株価が暴落すると、その下げがどこまで続くのかはとても不安になるところです。
正直なところ、暴落が一時的なのか長期的なのかを見分けるテクニックは無いと考えています。
判断できるとしたら状況から推測するくらいでしょう。
ただし、結論から言うと、暴落はほとんどの場合一時的なものです。
最後に起きた長期的な株価下落は2008年に起きたリーマンショックで、この時は約4年間株価は低迷しました。
しかし、それ以降の暴落時には長くても1ヶ月~2ヶ月程度で株価は回復しています。
特に個別銘柄の場合であれば、暴落局面であればどんなに業績の良い銘柄でも株価は下落します。
ただし、優良銘柄の場合はそれこそ一時的にです。
業績に比べて株価が下がりすぎると、売られ過ぎと判断されてすぐに買戻しが入り株価は元に戻ります。
過去の例を見ても、株価が暴落して長期的な低迷に入る場合はほぼ限られます。
- バブル崩壊
- 世界的な戦争の長期化
- 政権交代
などでしょうか。
リーマンショック後の民主党政権時代には東日本大震災も起きたこともあり、失われた3年などと表現されることもありますが、世界経済の後退と大災害が合わさった結果とも言えます。
現在日本にバブルの兆候はありません。アメリカも然りです。
世界的な戦争が起こる可能性もとても低いと言えます。
あるとすればアメリカと中国のような超大国同士による貿易戦争の長期化ではありますが、現実的にはどこかで折り合いを付けなければただ単に疲弊するだけだということはお互い分かっています。
テクニックと呼べるものではありませんが、以上のようなことから、株価の暴落は定期的に起こりますがほぼすべての暴落は短期的と考えて良いと思います。
株価の暴落が起こるとこんなことが起こる
投資家にとって、株価の暴落は避けては通れません。
どんなに慎重に取引をしていても、いつか暴落には遭遇します。
では、予想外の株価の暴落が起こるとどんなことが起こるかというと、個別株では一段の下げが起こる可能性があります。
原因は追証の発生です。
暴落がいつ来るかはほとんどの個人投資家は予測ができません。
また、暴落が来るときはほとんどが相場に過熱感が出ているときです。
暴落直前までは上昇相場で、株を持っていれば株価が上がるというような相場環境であることが多いため、信用取引も活発になります。
儲かっている時にはリスクを負ってでも利益を追求したくなるのが人間です。
そうすると信用余力いっぱいまで信用取引をする人が多くなります。
そこで暴落が起こると全面安になるため、追証が発生するという仕組みです。
追証が発生すると入金しなければ強制決済されてしまいます。また、追証の発生を防ぐために株の投げ売りが始まります。
そうすると暴落をきっかけにもう一段階株価が下がるのです。
普段から余力を残しながら取引をしている投資家にとっては、この底を打ったところが絶好の買い場になるというわけです。
初心者が気を付けたい株価暴落のシグナルのまとめ
ここまで株価暴落のシグナルについて解説してきました。
個人投資家が正確に株価がいつ暴落するのかを予測することはほぼ不可能だと言えます。
しかし、ここに挙げたようなシグナルを把握しておくことによって、暴落に備えることはできます。
暴落は反対に大きな利益を上げるチャンスでもあります。
株取引の初心者は特に、余力を持った取引で暴落に巻き込まれないように、暴落時には利益を上げられる取引を行うことを心がけましょう。